パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

すみれの刺繍カード violet mandshurica_1

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あるひ、お客様から一枚の葉書が届きました。アトリエの私の机の上に乗っていたそのカードにはスミレの絵が描いてあります。

何気なく手に取ってよく見ると、それは絵ではなく刺繍(ししゅう)です!

眼鏡をかけて何度も何度も、見直しました。裏を返して、あるいは斜めから透かして。

「どうなってるの?」

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繊細な刺繍の施(ほどこ)された布は、マットで凹凸のあるキャンソン紙のような紙に、グリーンとむらさき色の糸で綴(と)じつけられています。

そんな手の込んだカードなのに、封筒にも入れず、直接切手が貼られていて、あまりのさりげなさに驚愕(きょうがく)。

はがき表のその方の住所が橿原(かしはら)だったのでまたまたびっくり。
ちょうど樫原神宮(かしわらじんぐう)やスミレのことを調べていたところだったんです。


手でひとさし一刺し、丁寧に刺されていてブルーからむらさき色のグラデーションも素敵。感激です!

それ以来、しっくりする額縁を探してバッグに持ち歩いているんです。


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私の香りを気に入って使ってくださっているという心温まるお葉書に、どのような方なのか、メールでは失礼かとは思いつつもお尋ねしてみました。

香りを手に取って頂いたいきさつや、ご感想などのお返事がきたところ、この方は猫がポケットから覗いている絵柄で海外でも有名な、刺繍作家のHiroko Kubotaさんでした。


インスタグラムを見てみると、大勢の猫ちゃん。どの子も生き生きとしています。その中に同じスミレの柄の刺繍もみつけました.






共振とでもいうのでしょうか、

心惹かれることがあると、嬉しいご縁が繋がって「不思議だな~」と思いながら、こころ楽しく過ごしているこの春です。
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