パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

京ろうそく なかむら 体験教室-3 色かけ Kyoto⑤ Candle

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前回からの続きで「京ろうそく」の体験教室、色かけ。

先ほどの流し込みの作業場の隣では、ベテランの職人さんが、手際よく蝋燭(ろうそく)に色をかけている。みるからに難易度が高い。

おおきな鍋の中には赤い染料の入ったロウ(蝋)がたっぷりと溶けていて、脇(わき)の盆には、生成(きな)り色のロウソクが並んでいる。

ロウソクのお尻にはすでに赤いロウがちょっぴりついており、穴に竹の棒がさしてある。この下準備は傍(かたわら)にいるマダムの役割。

この棒をもって、赤いロウを上から注ぎかけて色をつけるのだという。赤いロウは面を伝わるにつれて冷えて固まり、表面に定着する。




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右手の柄杓(ひしゃく)ですくった赤いロウ。

左手で持ったロウソクはやや斜めにかしげ、棒をはさんだ指先をずらすようにして、軸を中心にクルリと回転させる。と同時に、側面に赤いロウをシャバシャバと垂らす。

口で言うと簡単そうだが、右手と左手で異なる動作を、しかも同時におこなうのでとても難しそう。しかも、芯にロウが垂れないように、斜めにかしげた下の面にロウを伝わせるのでますます難しい。

よどみなく一連の作業をおこなわないと、生地の部分が白く残ってしまう。それを修正しようと2度、3度とかけ直すとそこだけ厚ぼったくなり、表面がでこぼこになってしまう。



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ここで質問。
「芯をつまんで、ロウソクのお尻から鍋にどっぷりとつけたら簡単そうですが・・・どうしてわざわざひっくり返してかけまわすんですか?」

「芯の周りの、上の面を白く残すためには、かえってこのほうが早いんです。あとから直すのは大変なので」

なるほど。液だれの方向や、いかに均一にかけるかなどを考えると、ひとつずつの工程が実に理にかなっている。



さっそく席に座らせていただいて、大きなエプロンをつけてもらい、いま見たようにひしゃくを手にする。

「さあ、やってみましょう」
「思い切ってやらないとうまくいきませんよ」
「作るのは2本です」
「初めてでも上手な人もいますよ」

など、アドバイスを聞くほどにプレッシャー。


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うわー、ものすごく緊張する!

リハーサルで何度かひしゃくですくい、液のかたさ具合とか加減をみて、左手の棒も回転させてみたりするが、同時にやるタイミングが難しい。

呼吸を整え、えいやっとばかりにかけてみる。『アアァー・・・』声ならぬ悲鳴が。
回し方が足りず、白い部分が残ってしまう。さらにかけ足してみたが、生地がちょっぴり残ってしまった。

もう一本にトライするも、ああ無情。また失敗してしまった。おのれの不器用さにがっかりする。ちょっとくやしい。。写真を見ると脇があいて、手首だけでひしゃくを返そうとしている。こういうの、脇が甘いというのだろうか。


いやいや、「つくることは簡単ではない、難しいということを理解するのも体験の大切なこと」である。
と気を取り直す。

『さて、いよいよ絵付け。楽しみ~♪』
と思っていたら、たった今、自分で色をかけたロウソクを
「はいこれに絵付けしてください」とおっしゃる。

『あれ?この、失敗したやつに絵付け??そうだよな、、、自分で責任取らなくちゃ...』
って、不出来なものでも、自作だからこそ愛着が湧いてこようというもの。


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「ほらね、きれいな面を表に出したらわからないでしょ」と箱に詰めてくださった。マダム優しい~。 


次回、いよいよ最終段階の絵付け。なんの柄にしようかな~。実力をかえりみず、理想の絵柄(妄想)だけがふくらんでしまうのであった。  つづく。



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