パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

海苔と帆立とジメチルスルフィド(Dimethylsulfide)

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海苔と帆立とジメチルスルフィド(Dimethylsulfide)

 

ジメチルスルフィド(ジメチルサルファイド、Dimethylsulfide)という香料は、海苔の佃煮のにおいがする。

 

 

一度「この香りは江戸むらさき特急だ」というイメージがついてしまうと、どうしてもそうとしか思えない。

しかし外国には海苔の佃煮がないので、海外のパフューマーは、この匂いはジャムの香りだと言う。

キャベツの腐った臭いだと表現する文献もある。

 

先日、コンパウンダー(調香アシスタント)のM子さんがちょうどこの香料を使っていた。

 

そばにいた私は、漂う匂いについ不謹慎にも
『あー、海苔塩ポテトチップが食べたいな―』などと連想していたら、 
M子さんは「これって、帆立貝柱の水煮缶の汁のにおいですよね」という。

 

「これは海苔の佃煮のにおい」と記憶に刷り込まれていたので、やや意外に感じながら、ジメチルスルファイドをムエット(試香紙)につけてあらためて嗅いでみた。

なるほど、そういわれれば、ホタテガイの水煮缶のニオイがする。


二人で、なぜだろう?と考えてみた。

M子さんは「もしかして、帆立貝は海苔を食べているのでは!?」というので
早速ネットで調べてみると確かに帆立貝は海藻を食べている!

 

しかし、缶づめになる前の帆立貝はこのにおいぢゃない。
謎は深まるばかり・・・。というほど深刻な問題じゃないが。


 

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一方、ゼラニウムのトップノートにもある特徴的な成分だ。
ジメチルスルフィド」を単独で嗅いだ後、ゼラニウムオイルを嗅ぐとそのありかがわかる。

 

 

 

帆立とゼラニウムの関係はない。
しかし
ジャムの代わりに、江戸むらさき特急をトーストにのせてもうまいらしい。

香りの世界は複雑で面白いものだ。

 

 

 

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