パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

クレームドカシス(リキュール)と海苔の佃煮① Dimethylsulfide

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クレームドカシス(リキュール)と海苔の佃煮① Dimethylsulfide

 
最近はお酒の香りに凝っている。特にウイスキー。それぞれの香りに対応する香料を結び付けるのだが、とても奥が深い。
 
それに協力してくださるのは、よく訪れる六本木のシックなお店「六本木ミズナラカスク」。
 
いつもはシングルモルトなどを中心に香り(と味)を鑑賞しているのだが、食後に「あまおう(苺)のカクテル」を頼んだ流れで、この日はリキュールを紹介していただいた。
 
 
あまおうのカクテルの材料は苺の他、ウォッカベースでヨーグルトのリキュールと、カシスのリキュール「クレームドカシス(creme de cassis)」を使っているという。
 
リキュールはとても濃くて甘いしアルコール度数も高いので、原液で飲むことはあまりないが、それらの香りを観るためにストレートを小さなグラスにちょっぴり頂く。
 
 
ヨーグルトの方は、「うん、なるほどヨーグルト」という感じだったのだが、
カシスのリキュールは予想に反して、その濃い褐色の液体からは海苔の佃煮の匂いがする。
 
 
「うわ!ジメチルサルファイド(Dimethylsulfide)!」
 
 
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ジメチルサルファイドは、日本人には「江戸紫特急(えどむらさきとっきゅう)」などで知られる海苔の佃煮の香りである。しかし、外国に海苔の佃煮はないので、海外のパフューマーにとっては、この匂いはジャムの香りらしい。
 
なぜジャムと思うのか、その時はよくわからなかったのだが、この「クレームドカシス(Cream de Cassis)」を嗅いで、なるほどと納得した。ベリーのジャムの煮詰まった甘さと、海苔の佃煮は不思議と共通した香りを持っている。「ご飯ですよ!」はトーストに乗せても美味しいらしい。
 
 
この香料は口臭とか、不快臭としてネットであげられているようだが、決して悪い香りとは思わない。ラボでほんのちょっと使うだけで、海苔塩のポテトチップが食べたくなる。ちなみにホタテガイの水煮缶も、ジメチルサルファイドっぽい。
 
香水類を総称してアルコリック・パフュマリー(alcoholic perfumery)という。お酒の好きな調香師が飲みながらよく「私はアルコリック・パフューマーなんだよね~」とか、業界でしか通じない冗談をいうが、確かに調香師で下戸(げこ)はあまりいないように思う。
 
 
こうしてすてきな香りのお酒を嗜んでいると、「アルコールに弱くなくてよかった~」とつくづく思うのであった。
 
➤六本木ミズナラカスク(MIZUNARA CASK) http://mizunara-cask.com/
 
 
 
 
ジメチルサルファイドについては2011年にもブログで書いている。ネットで「ジメチルサルファイド」と検索するとこの記事が上の方に出てくるそうだ。

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