パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ハンカチノキ,Davidia ivolucrata

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ひらひらと「ハンカチの木」が揺れている。
今年はもう終わりかけで、最後の2-3枚が残っているだけ。下には散ってしまったハンカチの木の白い苞(ほう)がたくさん落ちている。
 
風がやむと、なんとなくだらりとして、「これ、このだらしない感じ、なんだっけ?」
と一生懸命思い出したところ、
「そうだ、一反木綿(いったんもめん)みたい」と閃いた。
 
 
閃いたところでどうということもないのだが。一反木綿は付喪神(つくもがみ)の一種で、年月を経た道具に精霊が宿るという。子供の頃見た「ゲゲゲの鬼太郎」という漫画のキャラクターがイメージになっている。もとは古い手ぬぐいだったとかなんとか。
 
 
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もっと早い時期だと、中の花も見れる。これは2011年のハンカチの木。
 
 
「黒い丸い球のような蕊」だと思ったら、これは一つの雌花とたくさんの雄花で、一本づつが花なのだという。こんなふうに花びらのように見えるけどガクだったり苞だったりするのは、たとえばハナミズキアジサイなどがある。
 
違いがどこにあるのか調べてみた。中心から順に、雌蕊、雄蕊、花びら、ガク、苞というように取り巻いているので、小さくても花びらにあたる部分があれば、その外にあるのは(どんなにキレイでも)ガクであり、複数の花の周りを包んでいるのは苞なのだそうだ。
 
 
 
 
白いハンカチはさよならの意味?
植物はそこにいるだけなのに、あるときはレースのように見えたり、妖怪に思えたり、見え方は気分次第で勝手なものである。
 
 

 

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