やれよかったナンバンギセル間に合った。
出張やらなんやらでしばらく新宿御苑にいけなかったので、もう枯れちゃったかなあと心配していた。
新宿御苑の日本庭園、橋と橋の間の池のほとりにススキのひと固まりがある。
このススキの根元に生えている背の低い花、これがナンバンギセル(南蛮煙管)である。
これは寄生植物で、イネ科植物の根から養分を取る。
そのため、ススキの繁殖を抑制すると同時に、もしイネにつけば稲の生育を阻害する。
ナンバンギセルのせいというよりも、人間様都合の話。
見るたびに不思議な形の花。
私にはどことなくタツノオトシゴのように見える。
外国から来た煙管(キセル)のようだからこの名前がついたらしいが、うつむいた形は物思いにふけっているようだ。
野辺見れば 尾花がもとの思ひ草 枯れゆく冬に なりぞしにける
「尾花」はススキ、「思ひ草」は南蛮煙管のことである。
背の低い草なので、香りを見るのは大変だ。
炎天下、熱い砂利道に膝をついて鼻を近づけてみるが、頭がぼうとしていたのかもともと匂いがないのか、さっぱり香りはしてこなかった。