パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

菊花壇展 新宿御苑の特別開園 11月1日-15日

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新宿御苑の菊花壇展。日本庭園をぐるりと散策しながら、さまざまな種類の菊を観賞できる。

これは子供の頭ほどもある「大菊」

赤、白、黄色とずらっと並んでいる。

 

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これを作るのにどれだけ苦労したか、丹精込めたのはとってもわかるけど、この美しさが理解できるまでには私はまだ若すぎるわ~。

 

 

これらの陳列をみると、育成の歴史もあるし、仕立ては完全に様式化され、展示は完成されている。


なんというか、そこに私は共感ができないのだ。
そこには人の居る余地がなく、閉じている。

本来、日本の美というものは、不完全さに永遠とか無限という意味が込められていて、それは左右対称の西洋庭園や飾り立てた洋式の室内装飾とまったく対極にある。

もちろん、威厳や権威というものは、完全に見せる必要があるのかもしれないけど・・・。

 

部屋というものは空っぽだから用をなすのであって、ぎっしり詰まっていたら使えない。
それは物理的なことでなく、思想的にそうだ。

 

でも、一年中展示されているのではなく、これはいっときのこと。

菊だけをみれば息苦しさも感じるけど、新宿御苑という全体の空間に、短い期間添えられるいろどりともいえる。

 

 

 

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「エリザベスを着けた犬」のような菊。

ほら、傷口をなめないように首のまわりにカラーをつけているワンコいるでしょう?
花びらが細く長くなるので、下にさがってしまわないように支えているのだ。

管物菊、糸菊ともいう。

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朱房と紫の幕がいかにもやんごとない感じ。

立派と言うよりも、御立派な菊だ。

大作り花壇といって、たった一本の芽から分枝させてこの数まで仕立てる。
数百輪にも増やす。

美しいかは別として、技はすごい。

 

 

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私は「菊」よりもむしろ、この「いなせなお兄さん」たちの写真が気に入っている。

新宿御苑、菊花壇展より1週間前の朝、一生懸命準備をしていた職人さんたちだ。

さまざまな菊を展示するこの小屋を、上家(うわや)と言うんだそうだ。
汗を拭きふき、いい仕事してるなあ~。

 

菊花壇展 新宿御苑の特別開園 11月1日-15日 この間休園なし

 

 

 

 

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