これは大菊花壇。子供の頭ほどもある立派な菊は、一本の苗の頂点の一輪を大きく育てる。
新宿御苑の菊壇展、歴史のあるこの展示会は、日本庭園の各所に趣の異なる菊を配置し、散策しながら楽しめるようになっている。
きれいに並べられ、囲ってあるので近くで香りをかぐことはできないが、そばを通るとさわやかな菊の葉の香りが漂ってくるようである。
まるで、美術館のプロムナードを歩きながら次の絵をみるように、庭園を移動する。
自然のまま、野に群れ咲く菊も風情がありよいものだが、こちらの菊は大きさといい、めずらしさといい、技(わざ)の極地として圧倒される。
これは江戸菊。ややねじれた花びらの形が面白い。
肥後菊だったかしら。
それぞれの菊の歴史、由来は立看板に詳しくかかれている。
嵯峨菊は、すらっと伸びた花びらがおいでおいでをしているよう。
特に白の嵯峨菊はエレガントでとてもいいと思う。
丁子菊。変わった形。
毎年、ほぼ同じ場所に同じ種類の菊があり、だんだんと名前も覚えてきた。
大作り花壇は、たった一つの苗から、300あまりの花に分岐させる。
この形を、刈り込むのではなく育てながら枝を伸ばしながら整えると言うのは驚き。
それに、咲く時期も一度にするというのがまたすごいと思うのだけれども。
また、幕、房かざり、竹で組まれた上屋は、毎年この時期だけに建てるもので、その造りに歴史を感じさせる。
菊と一緒に鑑賞するとさらに引き立ってすばらしいと思う。