パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

水色の蝶 アサギマダラ Parantica sita

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砂利道を歩いていたら、何か大きなものがひらひらと足元から飛び立った。

風のない穏やかな秋の午前、目の前を漂う青いもの。

 

派手な柄だが、水色に透き通る翅(はね)は、まるでラリックのエナメルのような繊細さである。

 

思いがけず近くにまた舞い降りた。

「だるまさんころんだ」
よろしく、そうっと、そうっと近づきながらシャッターを押す。

 

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翅を閉じたり、開いたり。

新宿御苑の散歩中に出会ったのはアサギマダラ。

 

アサギマダラは菊の花の蜜を吸う。


そういえば今は新宿御苑の日本庭園では毎年恒例の菊の展示をしているので、誘われてやってきたのかもしれない。

それに、毒があるからこそ敵を恐れずゆったりと飛んでいられるのかも。

 

この蝶は1500kmを飛ぶ渡りの蝶だ。

はかなげな割にしたたかで、毒があってきれい。
歳をとってからは理想の女性像。

 

蝶はもともと決して好きな生き物ではなかったけれど、都会で見ることが少なくなってしまったからこそ、会えたときは何か特別な朝のような気がしてくるのだった。

 

 

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