パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

スイカ 西瓜watermelon

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半月型に切った巨大なスイカを一口食べると、冷えていてしかもすごく甘い。

「こ、これはうまい・・・」

 

初めに真ん中を食べ味わう。
その周りを大きく掘る。
掘ったスイカは皿の横にのけておく。

イカの右端を一口食べる。
次に左はじを一口食べる。
どちらの端が甘いかを判定。

 

この段階でスイカの上部はギザギザになっている。

「その食べ方、でこぼこでひどいねー」
右隣りのNが軽い非難を込めて言い放った。

 

「一見無計画に見えるだろうが、これは計画的に匙を入れている。」

そういうと同席の女子H子は「いや何かの意図を感じますよ、さとりさん」と言う。

『う・・む、鋭い。』


甘くないほうの端から食べ始めて、反対側まで一通りきれいに食べた最後に、初めにとっておいた真ん中の甘いところを食べる、という算段である。

イカは皮に近づくほどだんだん薄味で酸っぱくなってしまい、いつも最後は甘くないお味が印象として終わるのがいや。

締めに一番おいしいところを味わうつもりでほくそ笑む。
そこでN、この甘いところにフォークを延ばす真似をする。
小学生なみ。

 

 

だが工程も半ばを過ぎたあたりでややお腹が膨れ、飽きて来た。
もっとも甘い部分を食べるころは舌鼓をうつことはできないであろう。

『しまった。計画はまずくなかったが全体の見積もりを誤った。』

しかし途中でやめると食い散らかしたように汚らしく見えてしまう。
すでに十分酷いが。

 

 

最近は小玉スイカを食べることが多く、こんな大きいスイカは久しぶりだ。
水気の多い果汁に、汗がすっと引く。
ウリ科の植物は体を冷やすと言うがもっともである。

 

「こんなにたくさん食べるとおねしょしますよ」
L子嬢にむかって呟いてみる。

ことのほか受けた。
夏休みだなあ。

 

(文中敬称略)

 

Citrullus lanatu

 

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