パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

中澤きみ子&アルバート・ロト(Stradivari&steinway)トッパンホール

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昨夜はトッパンホールで中澤きみ子さん(ヴァイオリン)とアルバートロト氏(ピアノ)のデュオリサイタルだった。

 

いつもそうなのだが、コンサートに行く前は慌ただしい。なにしろ、開演はだいたい7時前後で、いつも仕事を途中でおっぽり出して駆けつける態だから。

どんな方かも前知識ほとんどなし。その人の人生とか、経歴を知らない方が素直に聴けるから。ただ、先週月曜ののスマスマ特別編「THE★イチバン」のコーナーで、20億のストラディヴァリウスダヴィンチを弾かれたところを偶然拝見していた。


トッパンホールは初めて行ったが、こじんまりした会場で、デュオにはちょうどよいように思える。
席がまたよくて、鏡のように磨かれたピアノに手元が映って見えるE-7。

ロト氏のピアノを弾く手つきはとてもやさしい。やわらかい。羽毛のようなタッチで、まるで
「ピアノさん、私に詩(うた)を聴かせておくれ」
と、語りかけているように奏でる。

中澤さんの言葉を借りれば、彼のバックは「甘い調べ」なのだ。馥郁(ふくいく)としたヴァイオリンとセンチメンタルなピアノが絡んで、ホールいっぱいの空間をワインのように満たす。

3月25日のブログ、展覧会の絵/小林研一郎氏(サントリーホール)の項でも書いたが、香りに例えると、私にとってピアノはローズ、ヴァイオリンはジャスミン

ローズ・ジャスミンのアコードは、昔から最高の組み合わせとして、多くの名香に使われてきた。香水のロールスロイスと評された、かのジャンパトー、JOY(ジョイ)しかり。

アンコールは、30分はあったと思う。テレビではちょっぴりしか弾けなかった「チゴイネルワイゼン」をたっぷり聴かせてくれた。

ストラディヴァリウスは、弾くほど、後になるほどにどんどん音色が伸びてくるそうだ。この日お使いのストラディヴァリウスは、残念ながらダビンチではないと最後にあかされたが、演奏の情熱は変わりがない。と思う。素晴らしかった。

外へ出ると雨もあがって、満月に近いお月さまがビルの間に白く浮かんでいた。
暑くもなく寒くもなく、心地よい週末の夜だった。


(スマスマにでたときのことについて、中澤さんのブログにも書いてあるのでご紹介しておく。)
http://kimiko-vn.jugem.jp/


プログラム

シューベルト ヴァイオリンソナチネ 第一番 ニ長調 D384
モーツァルト/幻想曲ハ単調 K475
モーツァルト/バイオリンソナタ第40番変ロ長調 K454
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