パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

かぎ初め smelling

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アトリエは明日から始まるが、今日はひとりで2018年の「初スメリングチェック」。書初めではなく、「かぎ初め」というところ。オルガンから無作為(むさくい)に選び出し香りを嗅ぐ。
 
今年3本目の香りは「veloutone(ヴェロートン)」。瑞々しいピーチ・フルーティで、ジャスミンの要素もある。香料は好みにかかわらず、必要があればなんでも使うけれども、やはり好きな香料というのはあって、ヴェロートゥンは「明るくて可愛い、10代の乙女の香り」で好ましい一本である。
 
それは私にとっての印象で、他のパフューマーは、ヴェロートゥンにもっと大人びた色気を感じるかもしれない。しかし目に見えない幻を追っているわけではなく、ひとつの具体的な香料を対象に話し合いができるということだ。
 
 
 
香りの勉強の基本は、香料を何回も繰り返し嗅ぐことである。そしてその香料をよく知ること。教えてもらうのを待っているのではなくて、自分で学んでいくことにつきる。
 
本に書いてある香料の香調表現は参考にはなるけれど、それを読んだからといって香りがわかったわけではない。においの姿は鼻から入って頭のスクリーンに映し出され、テキストは言葉を引きだすガイドにすぎない。書かれていない行間は自分で埋めていくのだ。
 
 
 
調香はアコードの積み重ねで、アコードはチーム。ひとりひとりを知らなくてはチームは作れない。
 
「一度顔を覚えたからそれでいい」ではなくて、よくよく相手のことを知りたいと思う。何回も会って話して、小さな約束などをしているうちに、意外な面を見つけたり、誰かと似ていたり、似ていると思ったら別の表情があったり。などなど、新しい発見があるものである。
 
香水をつくること、それはいくつかのチームを組み合わせていくプロジェクト。
だから、ひとつひとつの香りと長くおつきあいを続けたいと思うのである。
 
 
 
 
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