パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

遠ざかる昭和 SHOWA

龍田揚げくじら.jpg 

江戸時代が終わり文明開化がもたらされた明治は激動の時代であっただろうが、着物が洋装になり肉を食べるようになったとしても、庶民の感覚としてはさほど変わっていなかったのではなかろうか。

その後も、東京オリンピックのころ、街は開発されていったが、人々の暮らしにはまだ明治・大正の名残があったと思う。

昭和から平成になって、ガラッと暮らしが変わったような気がするのは、年を取ったせいなのか?


私が子供のころの生活を思い出すと、日々の流れ方が今よりももっと遅い。
大人たちはたくさん働いていたけれど、一日にできることはほんの少しで、それでも社会は回っていた。

和服は今よりはもっと日常的に着られていた。
母はPTAに行くときは黒い羽織を着て行ったし。

一日かけておせち料理を作ったりとか、家事はたくさんあったと思う。

 

年月が経っても、年齢差が縮まるわけではないので、いつまでたっても母は母なのであるが、私の子供のころの母はまだ40歳前であるから、今の自分の年齢と引き比べると、母はほんとうは若かったんだなあ・・・といういまさらの感想である。

 

今、小さいお子さんを連れているお母さんたちを見ると大変だなと思うし、女性の30代、40代は家族のこと、仕事のこと、自分自身のことなどいろいろ悩み多き時代だ。

私の今の本音を言えば、そういう頃を卒業してほっとしてる感じと、若いっていいなあとうらやましい気持ち。

 

写真はクジラの竜田揚げ。
いまではめったにお目にかかれなくなってしまったが、小学校の頃は給食によく出たメニューだ。

いつもランチルームに最後まで居残って給食を食べていた私の、最も苦手とするおかず。
子供の私には硬くて嚙み切れず、なんだか革靴を食べているような気がしたものだ。

 

これは揚げたてでちゃんとふっくらとしている。
くじらこそ食べられなくなったが、日本の食文化は本当に豊かになったものだと思う。

 

 

昭和は懐かしい気もするけど、、、

「昔に戻りたいか?」っていうとやっぱり今の方がいいような、曖昧模糊とした気分の中にいる。

 

 

 

 

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