ツルボが咲いている。
とてもとても楽しみにしていた。
小さな淡いピンクの花、ツルボ。
光によって、ピンクと紫が微妙に変化する。
新宿御苑のバラ園の横、プラタナス並木の下に、夏になるとポウポウと生えてくる。
ひととおり並木の端から端まで歩いて、ツルボの生育状況を観察する。
去年はもっといっぱい、一面に生えていたのだけど、今年はまばら。
どうしたのかな?まだこれから出てくるのかしら。
ユリ科の、シラーなんかの仲間。ヒヤシンスにも似ている。
すうっと立った茎の上に愛らしい花が穂のように咲く。
暑い。
とにかく暑くて、汗が噴き出る。
プラタナス並木の木蔭で、ツルボを眺めながら、やれやれとベンチに座る。
つばめがたくさんとんでいる。
すいすいと、目の前を横切っていく。なんども、なんども。
つばめって、5月のものだと思っていたけど。
白いとても小さなものが無数に翔んでいる。
風に流されて、ふわふわと、マリンスノーみたい。
と思ったら、カイガラムシだ。
カイガラムシは、夏になるとワタのような翅を広げて浮遊する。
ツバメはこれを食べるためにたくさん集まっていたのである。
海の底で、プランクトンを食べるお魚たち。
つばめとカイガラムシ。
幻想的・・・どころではない。
しばらくベンチに座っている間に、身体中虫だらけ。
あわてて体を払って退散した。
これはまだ、8月の初めに芽吹いたツルボのつぼみ。
ほんの2-3本しかなかった。
みどりの、お団子のような蕾が、下のほうから咲いていく。
なんでツルボが好きなのかな?
フワフワと歩くプラタナスの下、夏の白日夢の花。