お盆中には朝晩の涼風にすわ秋が来るのかと思いきや、猛暑がぶり返しもう1週間。
こんな暑い日の新宿御苑は、冬枯れの時期と同じように静かだ。
雲の影がビルの上を斜めによぎっていく。
明るいからこそのコントラスト。
こちら側とあちら側の間に、くっきりと際立つ光と翳の境界線。
木立からときおり通り抜けるゆる風にほっとするものの、この先をじりじりと照りつける強烈な日差しに、次の一歩を進めるのがためらわれる。
日照りを避け、木陰をできる限り選んで池のほとりを歩く。
水面はじっとうごかない。
まるで熱気が膨らんで、池に蓋をしたかのようである。
さやさやと波立たせる、ひそやかな秋の訪れにはまだもうひととき待たねばならぬ。
橋の欄干にカナヘビ(トカゲ)が、息をひそめて私の通り過ぎるのを待つ。
突然現れた人間の姿にすくんでしまったのか。
そういうこちらも思いがけぬ遭遇に、かえって気付かぬふりをして、ゆっくりと橋を渡りながら、目だけがその鈍色(にびいろ)に光る背を追う。
はっと思いカメラを構えた時は小走りに、カナヘビは、たもとの茂みに消えていった。
Shinjuku Gyoen National Garden