パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

アラジンの魔法瓶  Aladdin

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私の遠足のお供、アラジンの魔法瓶。

これはアンティークというより、昭和の思い出、というところだろう。

 

先日行ったお料理屋さんでのこと。

そこは細い路地の奥で店の名前もないところなのだが、お料理の合間、ご亭主が赤いタータンチェックの大きな魔法瓶から何度も急須にお湯をさしてくれる。

見ているうちにふと、「それ、アラジンの魔法瓶ですよね?私の家も小さい頃使っていました」
そう話しかけると、

「そうそ、アラジンの魔法瓶は昔は高級品だったのよ」と笑っておられる。

 

私は遠足に、いつもこのアラジンの小さい魔法瓶を持って行ったものである。
夏のある日、冷たいものを入れて持っていこうと思い、カルピスの原液と、水と、氷をいれて勢いよく振ったところ、ガチャガチャっという音につづいてシャラシャラといいだした。

中のガラスの管が割れてしまったのである。中をのぞくと魔法瓶の底に、とがってキラキラした鏡(かがみ)の破片のようなものが溜まっている。

この時代、魔法瓶は高価なものだったらしく、本当に叱られた。

ことあるごとに、これについて「さとりが割ったから、店に持って行って直してもらうのが大変だった」と言っていたところを見ると、中のガラス管は交換できたものらしい。

 

料理屋さんから家に帰って、母に「ねえねえ、昔、アラジンの魔法瓶あったよね、タータンチェックのヤツ」

と聞くと、「まだキッチンにあるわよ」という。

 

び、びっくり。あれは赤坂檜町の家に住んでいた時だから、少なくとも50年は経っていると思う。

しかし、つい最近まで、母が毎朝お茶を飲むときにも使っていた現役だそうだ。

「お湯が一人分でちょうどいいんだ」

 

早速出してもらうと、確かに私の使っていた魔法瓶ではないか!!(最初の写真)
たしかにだいぶクタビレている。

愛着があるなあ。

「持って行っていいわよ」

とは言われたが、母の手元で大事にしてもらったほうがポットも長生きしそう。

 

骨董品とは言えないようなものだが、この家には鵺(ぬえ)のような道具がいろいろある。
道具使いは魔法使い。

ママはうちの骨董品一番!

 

 

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