パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ルビーと18金のルーペ lupe 拡大鏡  magnifying glass 2

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先日、18金のルーペのことを書いていて思い出した。
 
十年前、母の誕生日のためにオーダーしたペンダントルーペ。
懐中時計のようなバチカン(吊り下げ金具)がきれいな、
これも18金のハンドメイドである。

最近あまりしていないので、どうしたのか聞いてみたところ、目の手術をしてからよく見えるようになったので使っていないと言う。
 
そういえば新聞なども裸眼(らがん)で読んでいるのでびっくりなのだが・・・。用がなくなって結構なことではある。

むしろ私の方が必要だろうと、「さとりが使ったらいいよ」と言うので、また私の手元に戻ってきた。
あげたものを返すなんて、これも、母と娘の気安さだろうか。
 
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どこの家庭のお母さんも同じだと思うが、「欲しい物ある?」と聞いても、母は「何もいらない」という。
 
確かにたいがいのものは持っているので、頭を悩ませるところだが、
ただの装飾品ではなく、実用品できれいなものをプレゼントしたいと思った。
 
 
当時、首から提げるルーペが流行って、よく眼鏡店で見たものであるが、どれも安っぽく(実際に安いし)ゴテゴテとした飾りがある。
 
こういうシンプルですっきりしているデザインのルーペは、イタリアなどにはあるのだが日本では探しても既製品で見つかることはない。
 
それで、日本で特注で作ってもらったのであるが、たぶん1つだけ作るなんて、面倒な仕事はもうしてくれないと思う。
 
懐中時計の竜頭(ネジ)にあたる部分には、小さいカボションのルビーを入れてもらった。
ここのパーツをはずすと枠が外れて、レンズの交換ができるようになっている。
 
 
ほとんどの人はたかがルーペにこんな値段をかけるなんて、ばかばかしいと思うかもしれない。
でも、一生もの、というより何世代でも使える。

安物をいくつも持たないで、いいものはひとつだけで充分。
いつも身に着けて、しかも長く使うのがエレガントだ。
 
 
 
 

 

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