椿は陰樹。
あまり日当たりのよくない場所によく植えられる。
新宿御苑でも、薄暗い森の中にある。
大輪で華やかなのに、暗い感じがするのはそのせいだろう。
美しさに凄味がある。
濃い緑の葉の間の、鮮やかな花色がドラマチックだ。
御苑の縁をぐるりと一周回る道は、常緑の高い木が茂っていつも薄暗い。
代々木門から新宿門に向うこの外周に、椿並木があり今を盛りと咲いている。
背の高いものは5mにもなり、赤い花の壁がそそり立つ。
また、梅の咲く明るい日本庭園の裏手にも、雑然とした感の「椿の森」がある。
新宿御苑には、明るい陽(よう)の庭と、暗い陰(いん)の森がバランス良く配置され、変化が楽しめる。
明るいだけの庭では、明るさが引き立たない。
暗いだけの庭では哀しすぎる。
椿は活けると美しいが、庭木としては冴えないと思っていた。
しかし、圧倒的なボリュームで迫ってくるとき、花の新しい魅力を発見したのだった。
山茶花さざんか)と違い、匂いがないのが誠に残念。