パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ヒバンバナ 秋の気配の新宿御苑

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9月にしては暑い一日だったけど、新宿御苑は秋の気配がそこかしこに。

 

今年初めてのヒガンバナ
お彼岸のころに咲くから、というが、すでに1本だけ咲いていた。

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)というと、ちょっとエキゾチックで、少し暗い感じ。
さらに、お墓に咲くイメージから、忌み言葉のオンパレード。
死人花」や「狐花」などの名前もあってかわいそうな気もする。

有名な毒草だし、花色がちょっとキツイから、なんていうのもあるのかもしれない。

 

昔、庭に植えたら、株立ちしてよく咲いた。
でも「こういう花は家に植えるものではない」とお年寄りに言われたことがある。
そうはいっても、あでやかできれいだもんねえ。。。

花の蕊(しべ)がまるで、かんざしがたくさん突き出た花魁(おいらん)のようだとおもう。

 

似た花で、ダイヤモンドリリーといって、白やピンクやクリーム色の花もあって、これはうちの庭ではうまく育たなかった

 

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誰が置いたのか、カラスウリが橋の欄干にぶるさがっていて、どことなくユーモラスだ。
まだ青いけど、ここにも秋が。

 

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玉川上水分水道のキンミズヒキ

暑いし、あまり花がないので、新宿御苑門からいったん出て、横の玉川上水分水道を歩く。
近づいて花を撮っていたら、ちょっとヘンな臭いが漂ってくる。

この花、くさいな・・・。
においにはあまりネガティブなこと言わないのだが、、、、
ふと、頭の上を見ると大きなイチョウの木がある。

そういえば、ギンナンの臭いだ。
キンミズヒキではなかった。


こんなところにも、秋がやってきていた。。。

 

 

 

 

 

あの、3月の震災の後、春を探しに毎日のように新宿御苑にきたものだ。
早く桜が見たくって。

あの時は、「私たちの半年後はくるのだろうか・・・。」と想像ができなかった。
その後、暮らしの価値感は大きく変わったと思う。

 

あたりまえの生活、普通に秋を迎えられることは、なんと恵まれたことなのだろうか・・・。

過剰な豊かさを求めるほどに貧しくなっていく。貪欲さは、贄(にえ)を求めるものだ。

 

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