今日、ようやく新宿御苑のフジバカマが開花した。
匂いはまだない。(吾輩は猫である、名前はまだない、じゃないけれど)
というのは、生花よりドライフラワーにするといいにおいがするからだ。
桜の葉を塩漬けにするとあの甘い桜餅の匂いがするように、この植物も乾燥するとクマリンの一種類を生成する。
秋の七草のひとつ、フジバカマ。
「萩(はぎ) 尾花(おばな) 葛花(くずばな) 瞿麦の花(なでしこ) 姫部志(をみなへし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)」に詠まれている。
萩や、あさがおと詠まれているキキョウはもう散ってしまったが、尾花(すすき)はまだきれいにそろっている。
フジバカマは野に咲いていると地味でさっぱり目立たないが、切り花にして活けるととても野趣があっていい花だ。
といっても、お花屋さんで見かけるフジバカマは、本種ではなく園芸種らしい。
上は10月7日のフジバカマ。
まだつぼみ。いつ咲くかと待っていた。
下は10月14日。
まだ咲いていなかった。
母子森の水辺に一群れ、観察用に囲ってある。
これも、キキョウと同じく絶滅危惧種である。
➤植物事典:フジバカマ キク科 ヒヨドリバナ属 学名 Eupatorium fortunei
追記:その翌年、温室に咲くフジバカマ(藤袴)を見たところ非常に香りが強く驚いた。甘く粉っぽいクマリンやヒリオトロピンのような匂いである。この日はほとんど匂いが感じられなかったが、まだ十分に咲いていなかったのか、または戸外でにおいがとどまっていなかったのだろうか。 2013/10/23