パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ヴァイオリニスト 傳田正秀氏/サロンデュオ コンサート

090621 バイオリンコンサート 伝田氏.jpg

 

「秋の日のヴィオロンの・・・」
というヴェルレーヌの詩の印象からか、子供の頃の記憶には、ヴァイオリンは秋のイメージだった。

 

その後いろいろなコンサートを聴きに行くようになり、春にはいのちの喜びを、夏には爽やかな林を抜ける風を思い起こし、どの季節でも異なる感傷を与えてくれることを知った。
 
今日のような雨の日には、ことさらにバイオリンが物悲しく切ない。

などとつい、少女趣味的表現などしてしまった。


ストラディヴァリウス1717ex"HAMMA"

ここは、私のアトリエの真向かいにある、(株)日本ヴァイオリン(旧アルテ工房)の「弦楽器フェア2009」。

この期間、1流のバイオリニストが使用するような、素晴らしい楽器が数十と並べられ間近で見ることができ壮観。(ご覧になりたい方には残念ながら、今日が最終日)

1千万から数千万円台があたりまえのようにずらっと並び、億のものもバンバンバンーといくつか、といったほうが、下世話だがわかりやすい。

本日はフェアのイベント・ミニコンサートで、ヴァイオリニスト・傳田正秀氏による演奏だ。(仙台フィルハーモニーのコンサートマスター
サントリーホールで開催された、「ストラディヴァリウス サミット・コンサート2009」(総額九十億のストラデ)にも参加した、特別展示の上記ストラディヴァリウスを使用された。


サラサーテ「祈り」、バッジーニ「妖精の踊り」など、タイトルは知らなくても、聴けば誰でも知ってる
おなじみの曲で、たいへん楽しませていただいた。


ほか、ワインのきき比べのように、イタリア、フランス、ドイツの名器の弾き比べも。

これは、廣田氏の言だが、イタリアのクレモナはまろやかでパワーが、フランスのLupotはメリハリがあり、、ドイツのクロスは音量は小さめだが太くてどっしり、この会社のオリジナル2009は明るさとバランスがよい。ストラディヴァリウスは渋い・・そうである。(すみません、作者やブランドがうろ覚えなので、詳しいことは下記のHPで御確認下さい)

味わいに違いがあるのだろうが、ある水準を超えた楽器というものは、弾き手が素晴らしければ「どれを弾いてもみな素晴らしいのだな」と、音楽に浅いものとしては素朴に感じる。

逆にいえば、この会社のHPから引用させていただくと
ストラディヴァリがいかにすぐれた楽器といえども、演奏家の誰もがストラディヴァリの持つ、輝く素晴らしい音色を出せるわけではない。名馬乗手を選ぶといったところか。」なのだろう。

もう一つ素朴な意見として、CDで音楽を聞きなれていると、楽器ってすごく音が大きいな。ぶわっと広がって波が押し寄せる感じ。


工房も見学。どんなものでも、共通して工房には興味を魅かれる。製作過程の素材、道具の美しさ、特有の匂い。ここのにおいは弦楽器の音色を思い起こさせる、ウッディ・アンバー・バルサムだ。音からイメージしていたのと同じ匂いを持っているというのが不思議。

香水の匂い立ちと同じように、空気の乾燥と湿気は音質に関係あるのだろう。香りと音楽は本当に縁が深いように思える。

株)日本ヴァイオリン ホームページ http://www.nipponviolin.com

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