パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

秋の日のヴィオロンの/ヴェルレーヌ

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小学生のころ、私はとても痩せて小さくて色黒の、目ばかりぐりぐりさせた子供だった。

ツイギー(*1)来日から、母のシュミで、髪はスーパーショート。
ロングヘアの女の子が髪をかき上げるしぐさにあこがれて、必要もないのに「コンドーです」(*2)みたいに頭を振ったりして「なにやってんの?」と笑われた。

何度か髪を伸ばさせてと母に頼んだが「イナカくさいからダメ」の一言で却下された。
本当は、他のお母さんが娘にしてあげるように、シャンプーしたり、毎朝髪を編んだりするのがめんどくさかったからだ。たぶん。

いま思い出すと、すごくおませな子供で、子猿のような外見とのギャップがすごい。

小学校6年の時、自分で決めたテーマを自由に学べる授業というのがあって、部員二人の「詩集クラブ」を作って、詩を読んだり絵をつけて編集したりした。当時好きだった詩がヴェルレーヌである。ということを昨日(6/22)書いたバイオリンのテーマで思い出した。

意味がわかってたのかね?思わず赤面してしまう。
たぶん言葉のきれいさに魅かれてだったと思う。元はフランスのものなので、翻訳者がすばらしいということだ。下の二つはどちらも上田敏氏の訳による。

「秋の歌」/ヴェルレーヌ

秋の日のヴィオロンの 溜め息の身にしみて ひたぶるにうら悲し
鐘のおとに胸ふたぎ 色かへて涙ぐむ 過ぎし日のおもひでや
げにわれはうらぶれて こゝかしこさだめなく とび散らふ落葉かな。

山のあなた」/ブッセ

山のあなたの空遠く 「幸い」住むと人のいう。
ああ、われひとと尋(ト)めゆきて 涙さしぐみかえりきぬ。
山のあなたになお遠く 「幸い」住むと人のいう。

三遊亭円歌(昔の歌奴)師匠の落語「山のアナアナ・・・。」はあまりにも有名になったから、ある一定の年齢の方ならよく知っていると思う。

他にも、当時はまっていた佐藤春夫だの、島崎藤村だの、次々思い出してきた。さわりだけ書き留めておこう。

松葉をくべた時のにおいはいかに。写真は関連性がないが、なんとなく和っぽいので日本の詩人風。

「海べの恋」佐藤春夫
 こぼれ松葉をかきあつめ  をとめのごとき君なりき、 こぼれ松葉に火をはなち  わらべのごときわれなりき。

初恋「島崎藤村
まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり

(*1)ツイギー  60年代に世界を席捲したスーパーモデル。ミニスカートとショートカットを流行らせた。
(*2)コンドーです。 近藤正臣柔道一直線というドラマで敵役として登場。前髪をかきあげるキザっぽい役どころ。
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