「念ずれば花ひらく」はホオノキを愛した詩人、坂村真民さんの詩だ。
この日は坂村真民さんの随筆集、「めぐりあいのふしぎ」を新宿御苑にもってきた。
氏の愛したホオノキの下で続きを読もうと思って。
5月、甘い匂いの花を咲かせていた大きなホオノキは、今、南国のフルーツのような実をいっぱいつけている。
湿った空気が、芝生の上にも降りようとしていたが、濡れるのも構わず地面に座り、大きなホオノキを見上げる。
少し、本を読んで、また、ぼんやりと考える。
念ずれば花ひらく。
苦しい時に、坂村さんのお母さんがいつも口にしていたことばだという。
草木は人を哲人にさせる。
長い年月を経て、傷だらけになった新宿御苑のホオノキ。
ついに雨が降ってきた。
帰りたくないなあ。
さてまた、少し歩いてみようかな。
花おのずからにして咲き
道おのずからにして開く
ああ
わが愛する
朴の木のごとく
あせらず
いそがず
この世を生きてゆかん
一つの道を貫きゆかん
守らせたまえ
導きたまえ
坂村真民 「めぐりあいのふしぎ」59p