パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

紫のテッセン クレマチス

 

 

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石の壁に映える青紫のテッセン。

 

 

パリの公園で見つけた。
思い出すなあ。

 

 

昔、クレマチスにはまっていた時代があって、いろんな種類を庭に植えていた。
・・・正しくは、植えたいと思っていた。

クレマチスの写真集などもあかず眺め、庭いっぱいに咲かせる日を想像した。
たくさん咲いたら、切り花にして部屋に飾ろうなど、夢が膨らんでしまう。

花色も多く、形もいろいろでとても魅力的だ。
白の八重、紫、黄色の月宮殿。 
小輪のモンタナは雪のように滝のように、壁を真っ白にして咲く。
ピンクのコンテス・ド・ボジャールは名前も好きで。

 

園芸店でちいさな3センチほどのポット苗をいくつも買ってくる。
ポットの上には、枯れた小枝ほどの細い苗が出ていて、それを地面に下ろすのだが、なかなか思うように育たない。

竹を組んだ垣いに絡ませて、たくさん咲かせようと思うのだが、さっぱり増えていかないのだった。
あとで知ったが、小さい苗は、1年くらい鉢植えで養生しないといけないもののようだ。

 

テッセン、鉄線の名のように、ただ細い線のような茎は花が咲くまでは地味な草だ。

植え込む時は、クレマチスいっぱいの庭という妄想が膨らみ熱心に世話をするものの、ほかの花の世話にまぎれて忘れてしまう。
いつのまにかフェードアウト、春先に毎年挑戦したが、成功した記憶がない。
土壌や剪定の時期、日当たりなど、思いのほか難しかった。

そこで待っちゃおれんとばかりに、すでにたくさん花の付いている行燈仕立ての鉢を買ってきて、植えこんだりもした。

 

 

しかし、投資したほど花はつかず、お花屋さんで買ってきたほうがよほど安くつくと思ったのだが、やはりそれはやってみなければわからない。

似たような経験はいろんな花で学習した。

 

 

クレマチスは、朝顔の蔓のように巻いていくのではなく、葉の柄が引っ掛かるように絡んで登っていく。 互いに何輪もが葉でからんでしまうと、はずすのが大変だ。

活けるときにはずそうとして、うっかり蕾をむしってしまったりする。

大きい濃い紫のテッセンはいけばなでもよく使う。
全体を引き締め、派手すぎないが存在感もある。
夏草のようなものと合わせると引き立って美しい。

 

 

 

 

クレマチス テッセン Clematis florida キンポウゲ科センニン属

 

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