パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

香水が嫌いになるとき

 

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 その香水が嫌いになる理由。

 

 

講演先で時々相談されるのが、オフィスでの香害。

「隣の席の人が頭から振りかけたの?というくらい強い香水をかけているので
辛くてたまりません。どうしたらいいでしょう?」

その人が入ったトイレの後、降りた後のエレベーターは、彼女(彼)がたった今までいたことを知らせる。
時には姿の見える前に香りで来るのがわかったりする。

この問題はなかなか難しい。

 


なぜか、香水をつけすぎていて、しかもそれを気にしない人は、
注意しづらい人だという。

みんなが困っているのに、「あなた匂いが強いわよ」と誰も言い出しにくいそうだ。
注意したら猛反撃されそうなオーラを出しているとか。

こういうケースは、香水の問題ではなくて、人間性の問題なんじゃないかと思う。

 

 

ちょっと引き合いに出すのもおかしいかもしれないけれど、
エジプトの女王、クレオパトラのエピソードを思い出す。
クレオパトラの船は、帆柱にクローブ(丁子)の香りを塗りこめてあり、
はるか沖にあって、船が見える前から港に匂いが届いたという。

まあ、それは例えが違うかな。
でもにおいをまき散らすのは一つの自己顕示でもあるから、根本は同じかもしれない。

 

お寿司屋さんのカウンターでも、隣にそんな人が来ると一気にテンションが下がる。


 

 嗅覚疲労によるつけすぎ

 

いつも同じ香りをつけすぎて、その匂いに対するコンシャスが低くなり(嗅覚麻痺)、自分がそれほど匂っているとは思っていない、そういうケースもある。

仲良しや家族の人は、「いい香りだけど、ちょっと強いんじゃない?」
とさらっと言ってあげるといい。

 

 Too much を防ぐために

「せっかく魅力的になろうとして香水を身につけているはずなのに、
つけすぎはかえってあなたの魅力を損(そこな)ってしいます。

ほどよく香るように、控えめにつけましょう。
洋服の上から振りかけると、ダイレクトに匂ってきつくなります。
肌がほのかに匂うように、着衣の下につけるのがお勧めです。

つけすぎかどうかは、自分ではわからなくなりがちです。
そばにいる人や家族に、どのように匂っているか時々聞いてみましょう」

 


機会があればいつも、そう皆さんにお伝えしている。

 

「たくさん使って、消費してもらったほうがいい」というブランドもあるかもしれないけど、結果、香水嫌いの人が増えたらマイナスになる。

 

少なくとも日本ではそうだ。

 

 

 

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