近頃は、ユリノキにはまっている。
大きな木と云うのは、少し時間がたたないと魅力が分からないのかもしれない。
小さな自分に比べてあまり大きすぎて、存在に気がつかないとか。
どっしりと構えた木は、春夏秋冬を黙って見つめてきた風格がある。
たくさんの鳥が羽を休め、食べ物を分け与えてもらい、去る者は追わず
夏は木陰を作り、風の日は寒さから守ってくれる。
寄らば大樹の陰と云うのは、本来あまりいい言葉ではないけれど、一方で大樹の頼もしさをあらわしてもいる。
ただ、ユリノキは風に弱いらしい。
幹の大きさに根が持たないと聞いた。
高校生のころ、学校のユリノキ並木の数本が、台風で倒れてしまったことがあった。
まるでみんなを風から守って、あるひ「どうッ」と倒れてしまったみたいに。
花は高い所にあるので、咲いているところをそのまま嗅ぐことは難しい。
カラスがついばんだ花が木の下にたくさん落ちていたので、ひろって匂ってみた。
みずみずしい、ウリのようなグリーンノート。
花はチューリップのようにも、洋風の野菜のようにも見える。
さわやかな明るい葉の色とも、匂いはマッチしている。
歩いているうちに、新宿御苑には、あちこちにユリノキがあるということが分かった。