つい梅の香りが気になって、たびたび梅林を訪れてしまう。
新宿御苑のほとんどの梅はまだ固いつぼみだが、それでも数本が3分咲きくらいになっていた。
ここの梅の木はそんなに高木でもなく、ちょうど背の届くところに咲いている。
そうっとひきよせてかいでみる。
冷たい朝の空気の中で、
胸いっぱいに花の香を吸うと、きれいな女の人の面影が目に浮かぶ。
紅梅は、 少し甘さが強く、スパイシーなオイゲノール(ユゲノール)が感じられる。
白梅の方が、比べると爽やかでグリーン。
青空の日と、曇り空の下とでも、香りの透明感が違うようにも思える。
「梅はバラ科なので、バラの匂いがする」という説明もあると聞いた。
確かに、バラの匂いの主要な成分が、梅の中にも共通して存在するが、やはりバラの匂いとはだいぶ違う。
バラの要素をかくすほどに、梅の特徴である甘さとフルーティ感が強い。
直接説明を読んだわけではないので、もっと違ったニュアンスで書かれていたのかもしれない。
香りを人に説明するのはとても難しいことだ。
梅は、幹もあっての梅。
風雪に耐え、折れ曲がった枝に支えられるからこそ
花は可憐で美しい。
「桜折る馬鹿、梅折らぬ馬鹿」という。
桜の木は折ると腐りやすく、梅は樹形を整えるために折ってやるのがいい、ということだ。
また、桜の木は古い枝に花が咲き、梅は新しい枝に咲くので、剪定の仕方が違うともいう。
転じて、人によって対応を変えたほうがいい、というような意味にもつながっている。