パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

花から花へ flit from flower to flower

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こんなにゆっくり梅の花が楽しめるなんて。

最初の一輪から今日まで1ヶ月以上、今まさに、満開の梅林。
 
梅と桜の違いは、その樹の枝ぶりと花つきですぐそれとわかる。
折れ曲がりながら上に伸びる新しい若い枝に、梅の花は一輪ずつ、花柄がない花をつける。


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ここの園には、最も大きな日本庭園や小さな庭園の梅林、薄暗い雑木林中から開けた広場のすみにまで、いたるところに梅の樹が有る。
 
順々に開花し、その姿かたちと香りを堪能することができた。
 
近づくにつれ、雨上がりのしっとりした空気の中に爽やかなグリーンの香りがたちこめる。
そして顔を近づければ、ひとつづつの花は濃く甘いスパイシーな匂い。
 
 
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白い梅、淡い桃色の梅、きりっとした濃い紅色。
同じ白でも、今日の梅は甘くスパイシーなクローブ(ユゲノール)が香る。
 
別の場所の、2月に咲き始めの梅はシンナミックだったのに。
 
 
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この淡いピンクの八重は匂いが薄い。
江戸街娘のよう。
 
 
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鼻の上に花粉をつけて、花から花へと香りを吸いながら歩き回ると、自分がハチドリになった気分になる。
 
 
 
そして林のなだらかな小道を登りながら、紅白の細かい花びらが地面に散っているのに気がつく。
高い木々の日陰ではあるが、数本の梅が立ち、花はもう終わりを告げている。
桜ほどの派手さはないが、梅の散り際も風情のあるものだ。
 
その横では辛夷(こぶし)の固いつぼみが、少しずつ膨らんでいる。
季節が進んでいく。
 
 
 
 
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