いっとき、この人の本ばかり読んでいた時期もあったのだけれど、ある日気持ちが離れてふっつりと読まなくなってしまっていた。
それが、つい先にNHKのドラマ化を見て、「蒼穹の昴」を久しぶりに読み返したと思ったら、すぐそのあとに書店で続編が文庫化されているのを知った。
こうして、同じようにたくさんの人がこの「中原の虹」を買っただろう。
全4巻のうちようやく、2巻まで読み終わったが、2巻目から泣かす泣かす。
今日、久しぶりの休みに昼間ベッドに寝転んで本を読み、窓から入る午後の陽ざしについうとうととしてしまった。
小さい頃、高校生の頃、大人になって、いろいろな場所でこんな午後があったことを思い出した。
電車の中から外の景色を見ているうちに、私が動いているのか、まわりが動いているのか、錯覚を起こす瞬間があるだろう。
私はうつつの中ベットの上にいて、私が歳をとったのか、年月のほうが過ぎて行ったのか、わからなくなった。私の中身は、子供のころと何一つ変わっていないのに。
国家の上にも、個人の上にも、時は等しく刻まれていくのだろうか。
歴史には何の意味があるのか。