パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

浅草 追分

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おでん、お多福のすぐ前に、津軽三味線を聞かせてもらえるところがあると言うので、ちくとおでんと熱燗をやったあと、最終開演に合わせて店をでる。

2階座敷では、一日3回演芸がある。
ちょうど、前の回が宴会が入っていたそうで、満席だったのだが、入れ替わりで最後は私たちだけの貸切状態に。

なんか、とっても贅沢ですわ~♡

太鼓と、初めてみる「銭太鼓」という楽器をテンポ良く演奏しながらの軽快な踊りから始まる。

その後、朗々とした歌もあり、6人の津軽三味線が舞台にずらりと並んでの演奏はまさに圧巻!


テレビでは見たこともあるが、生で見たり聞いたりするのは初めてだが、やはりライブは全然違うものだと感動した。

宴席ではお酒が入って、にぎやかになってしまうこともあるそうだが、
この回はとにかく誰も他にいなかったので、全員、真剣に聞き惚れてしまった。

 

最後にお道具も見せていただいたが、また、撥(バチ)がとっても綺麗。
全体の形もバランスがとれているし、美しいべっ甲の柄が魅力的。

三角のべっ甲が、象牙の胴を挟むように圧着されており、思いのほか軽い。
しかし、他の人(女性)のは胴が黒檀で、こちらは結構重かった。

しろうと考えでは、重いほうが撥の重みで力がなくても弾けて、使いやすいのではないかと思ったが、どうなのだろう。聞きそびれてしまった。

津軽三味線も、大きくて重い。

男性と女性ではやはり音が少し違う。
女性の弾き手の方はきめ細やかな感じだし、男性は力強く荒々しいと思う。

若い頃は正直あまり興味がなかったのだが、歳とともに色々な日本のよさもわかるようになり、津軽三味線の音色と曲調は、日本人のソウルを揺さぶる、と思う。


バイオリンやピアノも大好きだけれども、室内楽、サロン的な優雅さを感じるのに対して津軽三味線は、(ちょっと通俗的な感傷だが)日本海の荒波に向かって弾くのがふさわしいような、厳しさと哀しさを持っている。

 

音楽はいい。
音という波動、波長の中に、身体を離れた自分が溶けて、一緒に揺られているような感覚になる。

だから、集中して聞けるこの日の環境はとてもラッキーだったと思う。

座席の後ろには、舞台中央に向き合うように、着物をきりりと着た先生がピシっと正座をして、最後まで厳しい表情で演奏を聴いていたのも素敵だった。

芸の道は本当に厳しいものだろう。

 

 東京都台東区西浅草3-28-11

 

 

 

 

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