オンブルローズ、「バラ色の影」と言う名の香水。1981年。
ノスタルジックな気持ちにさせる、甘くパウダリーな香り。ジョンソンのベビーパウダーで育った人はきっと、懐かしく幸せな気分になれるだろう。
ぼんやりとセピアがかったピンク色思わせる。名前がいい。口に出した時の音も優しい。この命名もいろいろなエピソードがあるようだが、発音から決めたようだ。
この会社は帽子や靴、バッグなどをパリのヴィクトール広場に店を持つ小さなフランスのメゾンから始まった。自社ブランドの香水を手掛けたものの、最初のオーダーはわずか15kgで、あまりの少なさに香料会社の社長を激怒させたという。
しかし、ニューヨークで、母の日キャンペーンでニューヨークタイムズに広告が出され、アメリカの高級デパート、バーグドルフ・グッドマンで発売されるやいなや、この香水は爆発的に売れ世界中に広がった。アメリカンドリームだ。
グレのカボシャールにしても、500本から始まったと言うし、昔はそんな物語のある香水がたくさんあったのだ。
このオンブルローズはシリーズでブルーやピンクの香水も出しているが、古い、オリジナルはもっといい。
今はどこのメガブランドも、マーケティングで人びとの欲求や流行を徹底的に吸いあげ、広告宣伝費をじゃぶじゃぶ使い、中身をスカスカにし、大量に作り、世界中の免税品店を持つ販路を武器に、必勝の体制で香水を出している。時代が変わったと嘆いても仕方がない。
☆ 香水名 オンブル・ローズ(OMBRE ROSE)
☆ 発売年 1981
☆ ブランド ジャンシャルル・ブロッソー(Jean Charles Brosseau)
参考資料:Perfume Legends /HM editions