パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

新宿御苑の花 椿

100124椿斑入り.jpg

藪椿(ヤブツバキ)を祖とする日本の椿は、きりっとしている。

 

 

今週、新宿御苑に梅を見に行ったときには、むしろ椿がたくさん咲いていた。

 

八重より一重が好き。特に、黒(暗赤)がいい。侘助(わびすけ)はお茶花としてもよくつかわれる。満開にならずに半開きでうつむき加減に咲くところが、とくに風情があってよい。アメリカの椿園のツバキは豪華で華やかに過ぎ、やはりカメリアと呼ぶのががふさわしいと思う。

日本の椿は、名前もとても素敵なものが多い。朱雀門、窓の月、追憶、曙、埋火、春の台(はるのうてな)、などきりがない。

種類も多く、日本のものだけでも2000種類はあるそうだ。昔、椿の木を欲しいと思わぬでもなかったが、茶毒蛾(チャドクガ)がつくので諦めた。

 

 

活けるのは好きな花だが、大ぶりに入れるのは、種類によっては枝が暴れて難しい。1輪2輪を挿すのがよい。

香りはないものがほとんどで、「匂い椿」と呼ばれるのはサザンカの仲間のヒメサザンカ琉球椿)の系統だそうだ。

サザンカ(山茶花)との大きな違いは、花の時期。

「さざんかさざんか咲いた道、たきびだ、たきびだ落ち葉たき」、唱歌「焚火」のなかでうたわれたように、サザンカは晩秋に咲き、椿は冬から春にかけて咲く。また、首から落ちるのは椿で、サザンカは花びらが散る。

私のイメージ(あくまで先入観)の中の山茶花は、花びらがそっくりかえって、やや雑に乱れた感じをうける。

 

照葉樹で、艶のある葉は料理に添えたり、小さい頃の記憶では、もち米を包んだりした。

▶ 花事典 ツバキ科ツバキ属(camellia japonica)

 

100124椿赤.jpg

 

 

Copyright © PARFUM SATORI All Rights Reserved.