パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

シクラメンの香り

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どうして?この花は「豚の饅頭」という名を持つらしい。

ちょっとあんまりじゃないかな?

クリスマス近くになると、ポインセチアとともに真っ赤なシクラメンの鉢が家に飾られた。小さいころから見なれた、私にとっては家庭的な印象の花だ。春になる前に、たいがい枯らしてしまう。こまめに花柄をつんで、ときどきハイポネックスをあげたりしないといけないのだが、線香花火のようにだんだん花がちいさくまばらになって、葉っぱばかりになってしまったものだ。

毎年同じ鉢を保って咲かせる人は尊敬する。

品種改良が進んで、花はだんだん立派になってきたようだが、大きなわっさわさした鉢より、最近見かける、原種に近いちっちゃい花のほうが風情があって私は好き。

 

シクラメンの香り」 という歌は有名だが、香りの印象はあまりない花だと思う。芳香の強いシクラメンの開発もされているようだが、普通のお花屋さんで売られている一般的なシクラメンの匂いは、少しほこりっぽくて薄く水っぽい。

シクラメンアルデヒド(サイクラメンアルデヒド・cyclamen aldehyde)という香料がある。シクラメンの花から抽出するわけではない。こちらは赤のシクラメンより、歌にあるように白いシクラメンのほうが香りのイメージに近い。オゾン系のうすいグリーンフローラルで、ビニールっぽい。天然界には、ナツメグ中に存在すると言われている。ミュゲのような透明感のある香りに使われる。

 

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