代々木駅から紀伊国屋書店に行く途中、小さな広場にミモザ(アカシア)の木が何本かある。
ここのミモザは背が高いフサアカシア。
ちょうど今、咲き始めたところだ。
フサアカシアの葉の雰囲気は、同じマメ科の合歓(ねむ)の木によく似ている。
羽根のように軽く柔らかい葉が、春の風になびいている。
赤ちゃんの握りこぶしのような丸い蕾からは、ぴよん、ぴよんと糸のような花びらが伸びてきて、やがてポワポワの毬のようになる。
ピンク色の合歓の木も、同じように蕾から糸がほどけるように花が開いていくので、色はちがうけれどもやっぱり親戚なんだなあと思う。
このフサアカシアからは香料を採る。
ミモザ・アブソリュードードは、甘く粉っぽくモソモソっとしてハニーの匂いがする。
原産はオーストラリアだが、南仏のイメージ。
明るい黄色が淡い緑の葉に映えて、色も形も香りも、本当に好きな花。
ミモザが咲くと、本格的な春が来るという感じ。
さらに道沿いに歩いていくと、新宿高島屋の前には銀葉アカシア(ギンヨウアカシア)が満開だ。
上の写真、こちらは葉が短く固い。
ギンヨウアカシアはフサアカシアよりちょっぴり早く咲く。
いつも、まだ寒い春の初めに通りかかってハッとする。
背が低いので、花は手が届くところに咲いている。
しかし残念ながら匂いがない。
小さいお庭には背の低い種類がふさわしかったので、日本にはこの銀葉アカシアが多く流通しているようだ。
3枚目もギンヨウアカシア。
ミモザって、言葉も可愛いな~。
ミモザとアカシアの名前の関係はややこしい。
本来は、ミモザとはピンクのオジギソウのことを指したそうだが、すでに慣習的に黄色いアカシアの花がミモザの名前として定着している。
一方、黄色い蝶々のような豆の花「エニシダ」もアカシアと呼ばれるし、「アカシアの雨にうたれて~」の歌で有名な花はエンジュという白い花のことである。
日本に入ってきてからの名前の変遷をたどると、なぜこうなったかがわかるのだが、本当にコンプリケだ。
NTTドコモビルをバックにした、高さ5mくらいのフサアカシアの木。
▶ 植物事典 ミモザ マメ科 オジギソウ属 学名: Acacia decurrense