パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ミモザとアカシアとネムの木と 銀葉アカシア Acacia baileyana 

ミモザと呼ばれる銀葉アカシア

ミモザとアカシアとネムの木と

ギンヨウ(銀葉)アカシア

春一番が吹いて、木が大きく揺れている。

毎年、ギンヨウ(銀葉)アカシアの黄色い花に気がつくのは、なぜかこんな風の強い日だ。
暖かさに油断して、薄着をしたとたんの風でちょっと肌寒い。


なぜそう覚えているかというと、写真を撮るのにいつも花が揺れ動いて、なかなかシャッターを押せないから。

 

この上下の写真のミモザはギンヨウアカシア(Acacia baileyana )、匂いがない。
香料を採るミモザではないが、でも、本当に可愛い花だ。

 

ミモザと呼ばれる銀葉アカシア

ミモザとアカシアとネムの木

ミモザとアカシアとネムの木の関係はとてもややこしい。

今までも4-5回ほどこれについて書いたりしたが、自分でも誤解していることがあったので、
この機会にまた自分の整理のためにおさらいしてみたいと思う。

呼び方っていうのは、国や時代によって変わったりさまざまだから、学名で見分けるのが本当は正確だ。

 

ピンクの合歓の花

オジギソウ

本当のミモザはピンクのオジギソウのこと。あの、ちょんちょん突つくと葉を閉じる、とげのある草だ。


でも、フランスでは「ミモザの木」と言えば上の写真、ピンクのフワフワのネムの木(学名 Albizia julibrissin)をさす。色と大きさは違えども、花の構造は似てるっぽい。
匂いは最初青い果実のような香りでだんだんと甘く粉っぽくなってくる。

 

香料用ミモザは房アカシアという 

ミモザの香料を採るのはフサアカシア(学名 Acacia dealbata)から。
花の香りは最初爽やかなグリーン感があり、ポワポワっと粉っぽくて甘い。

香料はパウダリー。スミレのようでもあり、ウッディで、豆のモソモソした詰まった感じもある。
わかるかな?でも香りを一度見たら、なるほどと思うだろう。


花は黄色、ギンヨウアカシアより背が高くなり、葉がフサフサとしてネムの木の葉に似ている。

上1枚と下の2枚がフサアカシアオノマトペが多いけど...。

 

房アカシアの葉acacia dealbata.jpg

ほら、フサアカシアの葉はこんな風に、柔らかい羽のような葉をしている。 

140319ミモザacacia dealbata2.jpg

アフリカのミモザ

また、アフリカ原産のミモザ(Acacia Karroo)はとげがとても大きい。
時期はずれであいにく花が咲いていなかったが黄色くていい香りがするという。(下2枚の写真)
これからも香料を採るのかな。

 

アフリカのミモザ

アフリカのミモザの棘 

 

ニセアカシア

さらにややこしいことに、歌謡曲などで歌われ、一般にアカシアとの花と思われている白い花は、今はニセアカシア と呼ばれている。(私はエニシダと混乱していた。)


和名をハリエンジュ(針槐)、学名 Robinia pseudoacacia という。
アカシア蜂蜜はこのニセアカシアから採る。
白い藤に似た花で、木の下を歩くととてもいい匂いがする。

半蔵門の近くのお花屋さんの前にハリエンジュの大きい木がある。
5月の爽やかな日、道に白い花がいっぱいこぼれている頃、上から香りが降ってくる。

今年はきっと、このハリエンジュの写真を撮りたいと思っている。

外来種で繁殖力が旺盛らしい。

 

 

整理しようと思ったのに、読んだ人はますますこんがらがったかもしれない。

それに謎がまだ残っているし、どれが正しいのか今後またよく調べてみたい。

 

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