今夜は赤坂で待ち合わせがあって、仕事を早く切り上げた。
原宿で乗り換え、東京メトロ千代田線の表参道駅、改札に向かう階段を下りる途中の出来事。
「おい、さとり!さとり!」
と呼ばれて振り向くと、高校・大学時代と一緒だった同級生がエスカレーターで登っていく。
やー、懐かしい、A君じゃないか!
すれ違いざまに声をかけられたのだが、向こうが先に気がついたから、油断していた。
『ヤダー、ぶさいくだったかしら?不意討ちってやだわ・・・』
昔の友達とはしばらく会わないとますます会いづらくなってしまう。
階段の上で二言三言かわして、
「残念だけど次の約束があるから・・・」
「じゃあまた、連絡するよ」
そう言って別れた。
彼は少し目じりに小じわ、でもあまり変わらないな。
懐かしいね。
「じゃあまた」は次にいつになるのか。
彼が私を見つけた時、口をへの字にしたり、肩が丸くなっていなかったか急に心配になった。
この年になると、いつも緊張感を持って颯爽と歩いていなければ、しなびたレタスみたいだ。
そう戒めて背を伸ばしたのだった。