パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

南仏の車窓から Cannes Nice Monaco 1

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「南仏の車窓から」なんて、どこかで聞いたことがあるような・・・。パリのことを半分も書かないうちに、実はもうカンヌに来て1週間になる。この日はモナコへ日帰り。

カンヌに滞在し、モナコへ初めて行ったのは2009年だった。常には車で連れて行ってもらうのだが、今回は3度目、列車で行くことにした。

車で連れて行ってもらうというのは楽だしありがたいことだけど、その場所が自分の栄養になりきらないって気がする。

自分で運転するならまだしも。


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南仏でいつもケアしてくれる香料会社のP社長の勧めもあった。


「いいか、さとり。カンヌの駅からモナコへ列車で行くのは簡単だ。切符を買って乗れば一本だ。ただしモナコの駅は崖についていて、出口は上と下と右と左で複数あるので、どの出口で会うかちゃんと決めておかないとだめだぞ。帰りは遅くなると危ないから車で送ってもらいなさい。電車に乗っていいのは朝の8時から夜の7時までだ」
「ダ-コ-、よしわかった。そうする。」

というようなやり取りがあって、この日ひとりカンヌの駅へと向かう。

彼は10年以上、私の行動パターンを見ていて
『このくらいは自分でできるだろう』
というあたりを見極めて提案してくれる、ありがたい存在である。

といっても、モナコの駅に着いたらまた知人が迎えに来てくれるので、子供の一人旅か、お使いみたいなものである。



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駅で尋ねながら切符売り場へいくと券売機が。
「ねえねえ、わたしモナコまで切符を買いたいけどどうやるの?」
というような感じで駅員さんに聞く。

とても親切な駅員のおじさんが(って人のこと言えるような年じゃないけど)教えながらどんどん手続きをして買ってくれた。

「じゃ、3時21分の列車だからね。そこ、階段降りて右行って、また昇ったら1番線だよ」
「ええっ?! 今、3時19分じゃない!あと2分後なんて、私、走らなくちゃ!」
「だいじょうぶだいじょうぶ、どうせ10分は遅れるから、充分間に合うよ」


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慌ててホームに行くと、すぐに列車が入ってくる。3時21分メントン行きって、これに乗るのかな?
乗り込もうとするマダムに、

「すいません、私モナコに行きたいんですけど、これでいいのかしら?」
「そうよ、この列車よ」

尋ねながら続いて乗ると、後ろのお兄さんも、「これでいいよ」とか声をかけてくれる。



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そういえば「1等に乗れ」と言われたけど、どのあたりかわからず、前へ前へといって先頭車両の2階にのぼる。空いているのでとりあえずここに座ることにする。



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落ち着いて窓辺に座れば、右は紺碧(こんぺき)の海が広がる。

列車は早く走っているのだろうけど、海が広いからゆっくりと感じる。ごく普通のローカル線に乗っているようだ。

明るい海と、白い船がたくさんとまっているのが、南仏だということを思い出させる。自分がここにいるのがとても不思議な気持ちだ。


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Cannesを出てからニースを経て、モナコまで1時間弱。岸壁が迫ってくるともうすぐ到着。路線図を持ってこなかったので、車内のアナウンスと前のサインボードが頼りなので、注意して聞く。

前から車掌さんが切符を切りにまわってきた。
そういえば、駅にゲートはなかった。2年前にオランジュから乗ったTGVもゲートってなかったよね。
中の検札で済ませているようだ。

「すみません、モナコは次ですよね?」
すると他の席からも「そうだよ」と声がかかる。



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で、あっけなく到着。来るだけだったら簡単だ。来るだけならね。来て何をするかが大事。


ロンドンでもテロが続いているし、フランスに来てから知人たちに「このへんの治安はどうなんだ?」と聞いたところ、全員が、
「世界中どこだって安全なところなんかないよ」と同じことを言う。

「でも日本は今のところ安全よ」
「だって、地震があるじゃないか」

これも同じ答え。




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乗ってきたのはこんな列車。






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「Hi Satori!」

の声に手を振り、ビズ。
そうだっけ、ここは改札がないもんね。入場券はいらないから、「中で待ってて」といった意味が分かったわ。「なぜ?」がわかっていくのがとても嬉しい。

香料の仕事をしているおかげで知り合いが増えていく。ネットの活用も進み、日本からのバックアップもあり、重要なポイントを多くの人に助けられて、ちょっとずつ経験値をあげている。

人からみたら簡単なことでも、私の中では、昨日の自分より少し前進。

スローな私だけど。




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