パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

秋は夕暮れ  Makura no sōshi

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秋は夕暮れ。
9月も半ばを過ぎたころから、夕闇がはやく降りてくるようになった。

10月、机に向かって夢中になっていると、陽が落ちるのに気がつかないうちに
うっかり暗くなっていたりする。

 

秋の黄昏時はなんとなくもの寂しい気分がするものだ。

 

この、「もの寂しい」は、ただ「さびしい」とは違う。
「少し」とも違うし、「うら寂しい」、とも異なるニュアンスがある。

「もの寂しい」には、センチメンタルな空気感が漂う。

 

日本語はとても繊細だ。
枕草子は、声に出して読むと、いっそう音の美しさを感じられる詩(うた)。

 

 

秋は夕暮れ。夕日のさして、山の端(は)いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三 つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるがいと小さく 見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。-枕草子

 

 

 

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