パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

私の読書遍歴3・・中学校の図書委員  library

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高校生から同じクラブ活動で、生涯の友となった I(アイ)江。
中学の時はそれほど親しくなかったのだが・・・。

 

思い出の切れ端はなぜポップアップして飛び出してくるのだろう?

夜中ベットに入ってから突然ひらめいて、寝床に携帯を持ち込む。

 

「ねえ、そういえば Ⅰ江って、中学の時図書委員じゃなかった?」

そんな風に彼女にいきなりメールしてみた。

 

私はその頃、中学の図書室の常連で、2日に1冊づつ本を借りていた。

通学に1時間かかり、電車に座っているのは片道30分。

 

学校と家の往復に2日間でちょうど読める長さの、少年少女ミステリー全集にはまっていたのだ。

 

たとえばコナンドイルの「まだらのひも」。

表紙のイラストは今でも覚えている。

気楽に読めるシャーロックホームズや、ルパンなどのシリーズである。

 


借りた本の記録をする「貸出手帳」はハンコで罫がいっぱいになり、新たな用紙を何枚もつぎたしてもらった。
その、はみでた紙がうれしくて、それを励みにさらに一生懸命借りたようなところもあったから、たわいのないものである。

 

 

 

当時の印象のⅠ江は、貸出カウンターの中にいた・・・と思う。

大人っぽい彼女の姿をぼんやりと覚えている。

 

 

そんなわけで私は本当に子供っぽかったし、ただ借りるためにハンコを押してもらうだけ。
あまり会話を交わした覚えもないので、お互い印象が薄かったようだ。

 

 

 

図書委員と言うのは、中学付属の図書館で、図書館司書のお手伝いを、放課後する仕事のようだ。
「・・・ようだ」、というのは私はそのころ放送委員で、ほかの係の仕事はよく知らない。

生物係りといってにわとりに餌をやるかかりもいたような・・?

 

 

放送係の仕事は、下校時間になると放送室から「ある愛の歌」だったか音楽を流し、「下校の時間です・・・皆さん早く帰りましょう」とやる、アレである。

 

 

 

 

 

さて、すぐに返事が来た。

 

Ⅰ江「そうだよ、私、放課後に中学の図書館でずっと図書委員してた。表彰されたこともあるよ!」

S返信「ええ?図書委員でなんで表彰されたの?」

 

 

彼女は、「読書する人が減って、漫画を読む人がなぜ増えたのか」というテーマで研究し文化祭で発表したそうである。そのなぞを掘り下げるために漫画家さん(ちばてつやさん)にも取材に行ったらしい。

 

本の魅力を訴えつつ、漫画の魅力を探求し、本離れを分析したのだそうな。

 

 

同じ中学生だよ?!取材にいくって、あのちばてつやさんに。

すごいなー、行動力あるし。

数十年を経て初めて知った友達の過去。

 

 

 

 

今の世界的な漫画ブームの原点はこのころに始まっているのかもしれない。

急にその内容を知りたくなってきた。彼女の出した結論はどうだったのか?

 

 

 

彼女は賢かったし、早熟だったからなあ。高校になってすぐ、彼女の部屋に遊びに行った時、太宰治の「人間失格」を本棚に見つけた。

びっくりするどころか、「人間失格」て何?とそのときは恥ずかしながら私は内容を知らなかったもんね。

 

 

小学校からエスカレーターで持ち上がった私とは違い、彼女は受験というふるいに掛け勝ち残ってきたから基礎学力が違う。

 

 

 

 

いまでもお互いに、最近読んだ本を勧めたり勧められたりして感想を共有している。

同じ本を読んで、同じところに共感できるのはまったく一握りの人間だ。

 

 

 

 

最近の我々のお気に入りは「家守奇譚」
一話完結の短編だが、なんとなくつながっていて、全体で完結している小説だ。


彼女、「面白すぎて読むのがもったいなく、少しずつ読んでる」ってきいて、そうそう私も!って思う。
「なーんかさ、おいしいおやつを隠しながら、ちょびっとづづ味わって食べるみたいな。」

 

 

そんな相手が身近に(距離は遠いけど)いるって嬉しいなあ。

 

いまでもお姉さん役の彼女はチームのまとめ役。

生まれが末っ子、長女と言うのは友達同士でもいつも役回りがその形に落ち着くようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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