11月になって、本当に寒くなってきた。
「りんごちゃん」
幼稚園の頃、そう呼ばれていた。
なぜかといえば、冬になると私のほっぺたは赤くなったからだ。
寒くなる時期、近くの美容院に母に連れられて行くと
「あらあら、さとりちゃんのほっぺが赤くなると、もう冬がきたと思うのよね」
美容師さんのそんな言葉を覚えている。
大きくなるにつれ、いつしかほっぺは赤くなることもなくなり、そんな呼び名も忘れてしまっていたが、道を歩いていてふと思い出したのだった。
今思うと、田舎っぽいし恥ずかしい気もするのだが、そのころは自分が話題になっている≒「褒められてる」と思って、赤いほっぺも嬉しかったものである。
最近ではあまり赤いほっぺの子供をみない。
きっと暖房がいきわたって環境がよくなったのだろう。
たまにテレビの画面の中にそんな子をみつけると、なんだかとても素朴で幸せそうにみえるのだけど。
ああ、だから昔周りの人は、ニコニコして「りんごちゃん」と呼んでくれたのかな?