パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

シモバシラ Keiskea japonica

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シモバシラ Keiskea japonica。シモバシラはシソ科の植物である。

 

冬、すっかり枯れてしまった枝の根本に、氷の柱ができる。
空洞になった枝の中にたまった水分が、寒さで結晶化するのだ。

 

年が明けてからずっと、新宿御苑に行けば「シモバシラ」ができているか必ずのぞくようにしていたが、少し出かける時間が遅いせいか、ずっと見ることができなかった。
年末から乾燥が強く、結晶化する水分もないかのようである。

 

火曜日からの寒さに、もしかしたら立派な氷柱ができているかもしれない。
折からの雪で水分も根に吸収されただろう、と朝早く見に行った。

今朝はよく育って、飴細工のようだ。私が今まで見たものの中ではもっともきれいだった。

 

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どうということのない現象のようだが、こうして麗々しく名前がついていると、とても珍しい植物のように思えてくる。実際珍しい植物なのだが、たぶん、立て看板がなければ見過ごしてしまうだろう。


シモバシラ、というネーミングもセンスだなあと感じる。
 これを命名した伊藤圭介のkeiskeaはこの植物の学名にもなっている。


 

そもそも、私たちが何気なく道端で見ている霜柱、これも微粒子を含む土壌で見られる特別な現象だという。日本以外でも2-3見られるそうだが、ドイツのような土ではできないらしい。

以前、読書日記で書いたことがある「中谷宇吉郎随筆集」の一文に、その霜柱の発生するメカニズムが紹介されていた。女子高生のチームが研究したレポートについて書かれたくだりである。

 

詳しくはその本を読んでもらうのが早いと思うが、何かあたりまえに見過ごしてしまうようなことに不思議を感じ、改めて検証してみようというような素朴な好奇心に科学の芽生えがあるのではないかと思う。

科学以外の分野でも、やはり素直な心というのが、きれいな結晶の核になるように思えるのである。

 

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