最近メディアで、今後起きるであろう大震災の情報を盛んに流している。
家の物置の荷物を整理していたら、昔のアルバムが出てきた。
1923年に関東大震災が起きた、その直後に撮った写真のようだ。
祖父は明治生まれで、当時大学を出るかでないかの年だったろうと思う。
写真の横に鉛筆で、「大震災12階」と書いてある。
浅草に12階建ての劇場があったそうなので、遠くに見えるのはその建物だろう。
どこから撮ったのかは不明であるが、佇む人の着物が当時の風俗を物語っている。
裾の乱れを気にして逃げ遅れた人がたくさんいて、これ以後洋装が広がったと聞いた。
地震の直後に火事とつむじ風が起きたそうだが、この写真でも黒煙が上がっている。
東京は焦土となった。
この後も大空襲の戦火で焼け野原となった昭和の東京。
戦後生まれの高度成長期に育った私には想像もできないが、2度の復興はその時代に生きた人たちの努力の賜物だと思う。
隅田川越しに見る平成の美しい夜景。
元号のように、ずっとこんな平和な夜が続いてほしいと思うのは人として当然の願いだ。
悲惨な風景は二度と起きてほしくないが、十年、百年先まで天災がないとは誰が言えよう。
できるだけの準備をして、せめて命を守る。
たびたびの荒廃から立ち直った今につづく繁栄は、人々の努力の上に築かれたものだ。
人さえいれば。
人間力のある人たちがいれば、何度でも街が再生できると信じたい。