恋人たちはクリスマスに夢を見る
郊外に小さい家を持ち、週末はそこで過ごすの。
五月、庭に出てバラを摘み、気泡の入った素朴なビンに投げ入れて絵を描こう。テーブルに思い切り贅沢なお茶を用意する。もちろん外で。
晩秋の冷たい良く晴れた朝は、厚いセーターにコートを着て雑木林に散歩に行こう。まだ落ち葉が積もっていて、歩くとかさかさ音がする。手袋がなくて、あなたのポケットに冷たい手を入れる。陽が、葉のない梢を金色に染める。息が白くってなんだかおかしくて、幸せ。
夏はね、ボートで湖に出てつりをしてもいいよ。釣ったはしから、私が逃がしてあげる。
まだ浅い春に、冷たい雨が降っていたら、一日中ずっと二人でベットにいよう。キスして、抱き合って、眠って、また目が覚めたとき一緒にいられるなんて素敵。
窓から、白いものが降ってくるのが見える。雪が、街の音を消して行く。
もうクリスマスだから、1階のお店ははたくさんの恋人たちでにぎわってるに違いないのに、ここはとても静か。みんな帰ってしまって、私はアトリエで一人、あなたのことを考えている。
数時間後、私たちは毛布にくるまって暖炉の前にいる。
あなたが迎えに来るまで、ぼんやりと外を見ながら過ごそう。私が行ったら、人込みの中であなたを見失ってしまいそうだから。
私のサンタクロースをここで、待とうと思う。