パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

イチョウ、銀杏(ギンナン)Ginkgo biloba

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ようやくギンナンの新物が出る季節になった。それは秋の始まり。
 
まだ青いギンナンの素揚げしたものを、熱いうちにパラリと塩を振ってひと粒つまむ。噛むとねっちりと歯ごたえがあり、塩味と油のコクでほろ苦さが引き立ってうまい。
 
 
 
子供のころは、茶碗蒸しなどに入っている黄色いギンナンは、ふにゃふにゃ、ぐにゃぐにゃして好きではなかった。蓋の上によけて残したものである。
 
しかし成人後、この翡翠(ひすい)色の新物を食べてからは好きになった。そもそも、ギンナンは大人の食べ物である。
 
 
おいしくていくつでも食べられそうだが、摂取しすぎると体に毒だというので、この程度の数がよいのだろう。
 
 
 
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イチョウの存在を意識するのは、春の芽吹き時と、黄金色の紅葉の時期。特に晩秋のあの果実の臭いは強烈で、蒸れたブーツの臭いに、発酵の進みすぎたウォッシュチーズを混ぜたような感じとでも言おうか。
 
銀杏材のまな板は高級だというが、家で使っている生徒さん曰く、ギンナンと共通の臭いがほのかにするそうである。香りの勉強をしていると敏感になるようだ。
 
 
 
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「これはもともと一枚の葉が
裂かれて二枚になったのでしょうか
それとも二枚の葉が相手を見つけて
一枚になったのでしょうか」
 
ーテ詩集(井上正蔵訳)より
 
 
 
ゲーテイチョウの葉を題材に、ロマンティックに詠(うた)っている。詩人として知られたゲーテは、植物学にも造詣が深かったという。
 
食欲の秋から読書の秋へと、最後はちょっぴりセンチメンタルに終わってみた。
 
 
 
 
 
 
 
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