パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

クリストフル ベビー用カトラリーChristofle

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ねえ、このフォークの両脇の刻印、かわいいでしょう?

 

縁あって、あるベビーの一歳のお誕生日に、何かプレゼントを買うことなった。
デパートの中を歩き回っているうちに、食器がいいかな・・・。と思いつく。


「ものを大切に使う」ことを覚えてもらいたいから、雑に扱ったら割れてしまう、茶碗やコップような壊れ物、それも壊れたら惜しいと思うくらい「ステキな食器」にしようと探したが、ピンとくるものがない。

 

そのうちに『銀の匙はどうだろう?縁起もよさそうだし・・・』

いくつかのバージョンがあり、どれもかわいい。
今年はスプーン、次の誕生日にフォークと増やしていこうと思ったのだが、ベビー用に関しては、
フォークだけの販売はしていないという。

 

うーん、バラバラに売っては生産数が読めなくなってしまうからかな・・・。
などとよその生産計画を推測しつつお財布と相談。

『まず、ギフトでなければ、こういうものは自家用には普通買わないだろう・・・。せっかくだから両方買ってしまおう!』


そう思って、テディベアのついたスプーンとフォークのセットを選んで、クリストフルらしい、メタリックの包装紙とシックなブルーのリボンをもらった。
高級感があってかわいい。

 


 

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銀の匙は重くて、乱暴に振り回したらお茶碗が割れてしまう。そんなことになったら子供はびっくりして、次は慎重に使うだろう。

(割れたっていいのだ。壊れたことで学べる。ある意味教育費だから)

お母さん、お父さんは子供の食器の使い方を、気を付けてみるようになる。
互いにコミュニケーションしあい、ご飯の間テレビだけ見ているということはないのではないかな。

食材の話、箸の使い方、今日合ったできごとなど、その場でなければ出てこない話題。
子供が食事の席で学ぶ情報はとても多い。

 

それに、重いのにバランスが取れて手にしっくりなじむ感触を、手から染み込ませてもらいたい。

頭で考えるより、手はとっても賢いのだ。

 

読み書きそろばん、英語などの早期幼児教育。
人より早く物知りになるのは、競争に勝つためには大切かもしれない。

けど、根本的な感覚のところは家庭の日々の生活の中で染み込んでくるもの。何年もかけて学び、何十年後に効果のわかる栄養のもとのようなものだ。

知識はあとからつけられるけど、人間としての大事なことは小さいときに作られる。

 

スプーン一つで期待が大きすぎるかも?
もらったほうは別の意味で重たいかしら。
ギフトというのは、贈り手の自己満足でもあるから。

 

しまい込まないで、毎日普段に使ってほしいと願う。
汚くなったからポイできる安手のものでなく、長く使えるものだから結局経済的なのだ。

いいものは傷がついても磨けばきれいになるし。

高度成長期やバブルの時代が消費文化の日本にしてしまった。
その後の安売り競争は、人々を豊かにしたのだろうか?

そろそろ使い捨てじゃない、良いものを長く使って自分を磨く時代になってもいいんじゃないだろうか? 

 

クリストフルは銀食器の名門ブランド。

ほかのブランドのも見てみたけど、軽く、ちょっと安っぽい。
やっぱりこの重厚感が素敵だ。

 

よく聞いてみると、これは純銀でなく銀メッキ。
初めはがっかりしたが、実は銀は熱伝導率が良いので、純銀では熱くてやけどすることがあるそうだ。

そのため、カトラリーではメッキを採用しているという。

 

そういえば昔のことだが、確かに「お客様のオーダーで特注の銀食器を作ってさしあげたら、熱くて持てないと言われたことがあった」というのを、ある宝石店で聞いたことがある。

 

やはりブランドの歴史のある商品というのは、長い間の試行錯誤やたゆまぬ努力、よりよいものを作り上げてきたプロセスがあるだけに商品が練れている。


デザイン、機能、製造工程や素材など、すべてにおいて・・・。

良い製品とは、時代を受け継いだ多くの人の知恵や工夫が結実したものだ。

 

 

 

 

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