今日、たった今、この時間のこの角度の光。
明日の朝にもう一度ここに来ても、同じ像を瞳の奥に結ばない。
24時間のうちに木の枝は成長し、葉は開き、陽の高さも、私も変わっていて、過ぎ去ってしまったものには二度と会えず、今日は永遠に来ない。
それを知っているから全てが輝いている。
何も所有できない。
ただ瞬間の映像だけが積み重なり、ホログラムとなって記憶庫に保管される。
小さいころから道草が好き。
花が好き、本が好き、「ナゼ?」が好き。
何百万枚の残像が今の私を作っている。
時が記憶を濾過(ろか)して、
むしろ濾紙に残った澱(おり)の模様が私を、
私を描いている。