パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

フレグランス パーティ 2019のご報告②コンテスト 授賞式 2018

20190203party18washoku.jpg
 
パルファンサトリのフレグランスデザインコンテストは、年に一回。年末に発表され、毎年2月の公式パーティではその授賞式が行われます。
 
2018年のテーマは「和食」。
 
このコンテストの審査の一端を担うフランスチームのPCW社長、Patrice Blaizot 氏から、
 
「日本の発酵食品である味噌(みそ)や醤油(しょうゆ)のアコードを持つ、ユニセックスのウッディの香りに興味がある」
 
というヒントをいただいたことから、今回のテーマとなりました。
 
 
スクールとしては、具体的に「食そのものの香り」を作るのではなく、和食を中心にしたストーリーや世界観にまで広げて、想像力豊かな作品を作っていただきたいと考えました。
 
 
japanese cuisine.jpg
 
 
「食」と「フレグランス」はいわばナチュラルとコスメティックの対極にあり、一般には、和食の場に香水はそぐわないものと考えられてきました。そのためこのテーマは、みなさまははじめイメージ作りに苦労されたようです。
 
しかし、最終的に提出された作品は、アイディアに富み、フレグランスとして可能性を感じさせる香りばかりです。
 
 
 
20190203party31.jpg
 
2018年の「フレグランスオブ・ザ・イヤー」は、スクール研究科生、鈴木さんの「秋は夕暮れ ~Soir Rouge」が選ばれました。
 
 
①テーマである和のイメージとのマッチング
 
干し柿からインスピレーションを得た燻煙臭(お香)のあるグルマンという新しさ、トップの干し柿やミドルから味噌をしっかり感じさせるジャパニーズグルマンというアイディア、
 
③ムエットでも肌につけて嗅いでも香調が変わらない安定感、トップのインパクトから、最後までリニアに持続する強さ、
 
これらの観点から総合的に優れた作品として、「秋は夕暮れ ~Soir Rouge」を「フレグランスオブ・ザ・イヤー」とさせていただきました。
*********************************
 
No3 秋は夕暮れ.jpg
 
 
フレグランス・オブ・ザ・イヤー2018
 「秋は夕暮れ ~Soir Rouge」
製作者 :鈴木さん
 
タイプ: Japanese Gourmain
 
イメージ:
 
 日本の美しい秋の夕暮れ
 
 緋色の夕日と紅葉
 
 暮れゆく一日の終わり
 
 
干柿の歴史は古く、平安時代には祭事の際にデザートとして用いられていました。柿は秋の季語でもあり、その色は日本のしみじみとした秋の様子を写し取っているかのようです。
 
また、味噌は日本ならではの発酵食品であり、ゆっくりと蔵の中で時を重ねながら熟成していきます。
 
干柿、味噌といった和食独自の香り要素を取り入れた今までにない香りです。
 
トップの干柿のような甘いフルーティーノートから、濃い赤のバラのミドルへ。ラストは落ち葉や味噌、樽を思わせる深いウッディーノートです。
 
略歴: 2014年入学、現在研究科在籍、新宿御苑で季節の花を楽しんでいます。
 
*********************************
 
 
そのほかの受賞者と作品はこちら↓
 
 
20190203party19kayoko.jpg
 
 
<優秀賞> 「お吸い物」俣木加世子さん
 
タイプ: フルーティオリエンタル
イメージ: 柚子のはいったお椀にはいったしんじょういり吸物イメージ
 
 
 
 
20190203party21.jpg
 
<優秀賞> 「Una10」 武宮志昌さん
 
タイプ: シトラス・グリーン・オリエンタル
ウナ重の芳ばしい香り、タレや炭火、山椒など10の要素を作品に落とし込みました。
 
 
20190203party32.jpg
 
<新人賞> Jo - 醸 - 田中光子さん
 
タイプ:  シトラス・ウッディオリエンタル
 
イメージ: 
和食の主食は真っ白なご飯。そのお米と日本特有の発酵物である麹を原料とした日本酒からインスピレーションしました。中でも、日本酒に杉の香を被せた樽酒。芳醇な吟醸香と淡麗辛口の喉ごし。花酵母による上品な華やかさと杉香の馨しさ。温燗の優しい木の香が人肌のように穏やかに香る樽酒。
 
 
20190203party22pcw.jpg
 
皆さまの作品は、10月1日から3か月をかけて日仏で審査致しました。
 
選考は大沢さとりを中心とするフレグランス・コンテスト審査委員会と、フランスの香料会社である「パルファン・コスメティック・ワールド(PCW)」にご協力戴きました。
 
フランス、グラースでの審査会ではPCWのパフューマーとともに全作品をしっかりと評価し、社長のブレゾー氏からは「まだリワークが必要なものもあるが、どの作品も大変興味深いフレグランスイメージでした」と言葉をいただきました。
 
 
20190122annindriyacontest3.jpg
 
 
 さらにこのたびは審査期間が大沢の渡欧の時期と重なり、オランダ・アムステルダムのニッチ香水ショップ「アニンドリアパフュームラウンジ」の皆様にも感想をいただいております。
 
「これはとても違うわ・・・。とてもエレガント」「この写真の女性が目に浮かぶようだわ!」
 
 皆さんの作品は海外でも評価されています!
 
 
 
 
コンテストも第6回になり、全体の水準がとても上がってきています。惜しくも選を漏れた方々の作品にも、評価ポイントのひとつずつでは優れたものがあり、まとまり、アイデア、それぞれ魅力的な顔が見られました。
 
生徒のみなさまの成長が感じられとても嬉しく思っています。来年のコンテストの作品が楽しみです。
 
20190203grand prix.jpg
 
 
2018年フレグランスオブザイヤーの優勝者には次の豪華賞品が贈られました。
 
①賞状、②ケース入り香水瓶にボトリングした受賞作品、③ローズabs、ジャスミンabs、ミモザabsなど、貴重な天然香料(ピュア)×5種類と、④さらにパーティのご招待、そのほか⑤~⑧スポンサー様からのご提供品です
 
 
20190203sponsor.jpg
 
また、優秀賞、新人賞も、和食にちなんだ「服部鍋(なべ)」、ボディソープ、ディフューザー、フレグランスキャンドル、などをご提供頂きました。
 
 
20190203party340.jpg
 
 
参加者全員に、審査員からの直筆のコメントカードと、フランスチームから練り香水。これも嬉しいですね!
 
 
 
パーティでは、お食事の後のデザートタイムに参加作品の鑑賞会をしました。
 
 
20190203party16.jpg
 
 
ひとりひとりの香りとイメージ、説明を見て、感想をメモします。他の方の作品をみることで、自分の創作の幅も広がってきますね。
 
 
 
20190203party33gorin.jpg
 
さて、次回、第7回2019年度の「フレグランスデザインコンテスト」のテーマは・・・「五輪」です。
 
2020年のオリンピックを前に、あまりにもストレートなテーマのためか、みなさんから笑いがもれました。でも、スポーツに限らず発想は自由。
 
五輪と書いて(いつわ)と読んでもいいんですよ!
 
 
 
 
募集要項は後日UPします。
 
 
2019年の応募締め切りは9月末。在校生、OB、また4月に入学される方も参加できます。
 
また、スクールでは、コラージュコンテストやSNS内のフォトコンテストの授賞式も同時に行っています。いずれも豪華賞品がたくさんです!
 
 
 
どうぞこれからも「香り」ある毎日を楽しんで、素敵な香りを作って下さい。来年も皆さんの作品にお目にかかれるのを楽しみにしています!
 
 
 
Copyright © PARFUM SATORI All Rights Reserved.