パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

オランダ便り14 コインプレス機 stedelijk museum amsterdam

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オランダ、 アムステルダム市立美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)は、ゴッホ美術館やアムステルダム国立美術館のすぐ近くにある。近・現代美術を展示している美術館である。
 
引越しをしていたら、荷物の中からぽろっとこのコインが出てきたので、アムステルダム滞在の、その日のことを思い出して書いている。
 
 
 
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6月のある日、ゴッホ美術館で半日過ごした後、夕方のアポイントまで少し時間があったので、となりのアムステルダム市立近代美術館も寄ってみた。
 
1階のミュージアムショップから出た後、建物の中の壁際にポツンと何かハンドルのついた機械が置いてある。
 
「うわー、面白そう!なんとなく遠目に見ても引き付けられるわぁ~!」
 
ほぼ、パンダに駆け寄る幼稚園児のように、急いでそばに寄ってみた。
 
 
 
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おお。どうやら、ハンドルを操作して歯車を回すと何かが起きる模様。すごく興味深々。ケースの中に、コインらしきものが入っているので、こういうものが成果物だということはだいたい想像できるが・・・。
 
 
さんざん、ハンドルを回したり、矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)観察してみる。
 
 
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ここに、コインを入れるっていうことかな?
 
なんといっても、歯車が大好き。その起承転結が興味深い。自分は理論派ではないので、なおさら歯車のしくみに惹かれるのであろう。
(その件については、金沢大野からくり美術館の記事にも詳しく書いてある。)
 
 
 
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インプレスマシーンというらしい。後ろの壁に説明が書いてあるが、これもどうやら現代アートインスタレーションということか?
 
何を表現したいのかいまいちよくわからないが、アートというより、メカニックの部分で非常に興味がある。
 
 
おおよそ、ここに入れてハンドルを回すとコインがプレスされてあのように扁平になるということだよね・・・。それ自体、想像できるが、やっぱり実際に試してみたい。という動機付けがこのアートの意味なのか?単に私が物好きなのか。
 
 
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コイン挿入口から入れてみると、コロコロとここに落ちる。ハンドルを回すとどうもこれが下のプレス機に運ばれて、引き延ばされる模様。でもって、実際にやってみないと面白さはわからないものだ。
 
 
 
もっと簡単なものかと思えば、ハンドルを回すのには意外と力がいる。これ、ハンドルを大きく(長く)すれば軽くなるのに・・・と文句を言いながら、一方で手ごたえがないと面白みがないのかもしれない、とかなんとか思いながら一生懸命回してみる。
 
 
 
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ハンドルを回す力がすっと軽くなったと思うと、チャリンと下の受け口にコインが引き延ばされて落ちてきた。ハンドルを回す労力に対して、この最後の瞬間があっけないほど。
 
いや、このプロセスを理解したうえでもう一回やってみたい・・・。1回では満足できない、と、そう思わせるのが手なのか、はたまた深読みさせるのが目的なのか?
 
 
 
アートとは、そういうものではないとか、一人で対話などしつつ。
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コインの上には指紋がプレスされている。これはこの機械というか、アートの作家さんの指紋であろう。そういえば、東京タワーにも、おもちゃのコインに日付とか刻印してくれる機械があったっけ。そういう商業用の遊戯マシーンと違うのは、本物のコインを使うからとか?
 
 
もとの通貨としての痕跡はほとんどないので、ひょっとして入れた通貨はそのまま代金として機械に入り、これはもともと用意されたメタルなのでは?などと邪推してしまうのは、自分も世知辛(せちがら)いものよ。
 
 
だいたい、日本でこれをやったら、通貨変造の罪になるのでは?とか思いながら、やはりオランダではアートととして認められているのだろう、とか一人納得してみる。
 
 
 
 
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この機械ひとつで1時間も楽しんでしまった。6月のさわやかな夕方、外はまだ真昼の明るさ。
 
 
アムステルダム市立近代美術館にて。
 
 
 
 
 
 
 
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