チューリッヒの講演に関して長々と書いてきましたが、今回を最終回にしたいと思います。
11月8日15時、ようやくチューリッヒの空港からホテルに到着しました。建物はドイツ語圏っぽいですね。
招聘(しょうへい)された講演のスピーカーは15名ほど。フロントで尋ねると、みなさんこちらに宿泊しているそうです。ドイツ、イタリア、フランス、ベルギーなどヨーロッパ近隣から集まり、アジアからは私一人です。
数日前から、映像担当、展示担当、運営など各担当者から、用件のみの短いメールが来て、ジグソーパズルのピースがはまっていきます。
昨日の指令(メール)によると、関係者の全体ミーティングは8日17時から始まるので、カンファレンスルームに集合とのこと。
地図を見ると、ホテルから大学まで徒歩18分とのことで、大きい道を一回右折するだけの迷いようのないシンプルな道。
とりあえず余裕をもって出たのですが、曲がるきっかけを間違えて案の定、迷います。
よそのホテルに飛び込んでまた場所を確認し、ホテル前のタクシーを捕まえたのですが、
「ここからだったら歩いたら近いよ」とドライバー。
「私はすごく急いでいるの!乗せて~!!」
とか押し問答の末、
「この時間は渋滞しているし一方通行があるから歩いたほうが早い」
とか説得されて、しかたなく急ぎ足で歩いていくことにしました。
「この辺にあるはずだけど。。。」
チューリッヒの芸大ということで、緑のキャンパスにクラッシックな建物を想像していたのですが、とても近代的で巨大なビル。そのため、大学の前を何度も行ったり来たり通り過ぎ、道行く人に尋ねてようやくここが?!とたどり着きました。
ついてみればやっぱりタクシーに乗るより早かった!ドライバーさんありがとう。
しかし、中に入ってみて、さらに迷子になる。
「カンファレンスルームってどこおおぉぉ・・・」
さんざん聞きまわって、ようやく案内事務所らしきところへ到達、5階の部屋番号を教えてもらうも、学部ごとにブロックが分かれており、それぞれに同じ部屋番号があるらしく、私はまるでラビリンスの中のコマネズミ。
この棟は音楽学部のようです。
永遠にたどり着けないのではと気が遠くなるのでした。
最後は、迷い込んだデザインルームの学生さんがカンファレンスルームまで送ってくれました。
初めてお会いする教授方と握手をして、音声担当の方とマイクやパワポの簡単なリハーサルをします。
講演者はマイクを持つ人も、スタンドマイクを使う人も、好きなタイプを選べます。私は両手がフリーになるよう、インカムタイプのマイクにしてもらいました。
ホテルから引っ張ってきた小さなスーツケースから、香水や香道、茶道のセットをとり出して陳列していきます。
そして、話が前後してしまいましたが、このシリーズの1に戻るわけです。
講演が終わって皆様から大きな拍手を頂いたときには、それまでの緊張も苦労も吹っ飛んでしまいました。
カテリナ(Prof. Katharina Tiezet)先生とマーティン(Prof. Jaeggi Martin)先生に、講演後の晩さん会で「よくやった!」とねぎらっていただきました。
アンヌ博士も含めて、今回チューリッヒに来て初めてお会いした方ばかりです。
規模も内容も行程も手探りの中、メールでの少しの情報と、送られた2枚の地図(空港から駅まで、駅からホテルと大学まで)を頼りに旅をする。
会議が終わったころにようやく全貌がわかってきた次第です。
まるでファンタジー・ロールプレイングゲームとでも申せましょうか。この旅でさとりは経験値100を手に入れました!
しかしこれは現実、呪文も魔法使いもおりません。ただ周囲の励ましに支えられて歩いています。
目標は達せられたのでしょうか?いえいえ、いまだ冒険の途中です!
長々とお付き合いくださいましてどうもありがとうございました。
ベリーベリーサンクス!
‐完‐
チューリッヒにて講演を行いました。
Satori Osawa gave a lecture at the Symposium 'The Perfumative - Parfum in Art and Design' organized by the Zurich University of the Arts. The title of the lecture was 'Scent and Sense in Japanese Culture'.