パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

パリの古書店,ギャラリーヴィヴィエンヌ,Redoute_Paris,

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エチエンヌマルセルからヴィクトール広場を突っ切って、ギャラリーヴィヴィエンヌへ。
ここはパリの中でも特に美しいと言われるすてきなパサージュ。

外出といえば仕事オンリーで、時間がまったくとれなかった今回のパリ。
日本への出発は夜の便だったので、この日の昼間ようやく自分のために街をウロウロする。


いつもはパリにくれば書店を回って、香水関係や花の本、資料などを探している。
かさばらないし、旅の思い出にも、おみやげにもいいものだ。

こうした植物画やファッション画、香水ポスターは、のみの市などで買うことも多いのだけど、今回は週末が忙しく、行くことができなかった。

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そこで近くのカフェでランチを食べた後、出発前の最後の最後に、この古書店に入ってみることにした。

パサージュの入り口からちょっと外へ出たところ。
知ってはいたけど、毎年素通りしていたのだ。

ふらっと入って見ると、なかなか雰囲気のあるお店である。

ムッシュが退屈そうに新聞を読みながらお店番をしている。

声をかけると顔を上げたので、

「香水の本ありますか?」
「ないよ」
と、つれない返事。
「じゃ、花のは?」
「あるよ」

棚には画板を2枚重ねたものがぎっしり。
おもむろに立ち上がり、3~4冊を無造作に選ぶとそこへ座れという。



目の前の折りたたみ書架を広げ、その上に画板をのせてくれる。
本ではない。

大きな画板の中にはたくさんの絵が挟まっているので、V(ブイ)字型の書架にのせたまま、広げて1枚ずつめくって見て行くようになっている。


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あまり気乗りのしない絵が多いのだけれど、いくつか香料植物などの絵をピックアップ。
このカーネーションはまあまあかな・・・。

裏には鉛筆で価格が書いてある。
このお値段なら、お財布に残ったユーロで、5~6枚は買えそうだ。


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ためすがめす眺めたり、一枚いちまい熱心に選んでいると、脈(みゃく)有りと思ったのかムッシュ、反対側の奥の棚からも大きな画板を出してきた。

閑な店かと思えば、選んでいるうちに観光客だけでなく、近くのオフィスのビジネスマンやらマダムやら、ひっきりなしにお客さんが来る。
結構はんじょうしているみたい。

この写真の左奥には、古い製本機が飾ってある。
ギアをまわして上からプレスするためのもの。

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あたらしい画板の中から一枚を取り出し、

「この葉の絵は、オーストラリアの原住民が、本物の葉を特別な加工をして、葉脈だけにしたものを貼ったもので、とてもめずらしい18世紀の作だよ。」

と薦める。
これ、夏休み自由研究とかで、重曹で葉を煮込んで作った葉脈標本みたい。。。


さわってみると凹凸があるし、確かにちょっと変わったテクスチャーだ。
味わいもあっていいけど、裏を返して価格をみたら案外なお値段。

私の驚いた表情を見てムッシュ
「あー、これは当時の値段で、今だったら安くしてあげるよ」

むむ、なおさらアヤシー。。。

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お、こっちの束の方がちょといいかも。
紙質がいいし、絵もしっかりしてきれい。

そう思ってめくっていると、心引かれる絵が出てきた。
「これいいなあ・・・」

白いジュネの絵は、地味だけれど清楚でかつ品がある。

裏を返して値段を見ると、さらに、び、びっくり。
「マルがひとつ多いじゃない!」

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「あー、それはね、ルドゥテだからね、ちょっと高いんだよ。知ってる?」
「え、ルドゥテなら、薔薇は無いの?バラ!!]

「バラなんか、高すぎるよ。こんな値段じゃ買えないよ」

探して見ると、他にルドゥテのボタニカルが5枚ある。


「カード使えます?」
もう、欲しがってるの丸わかり。

「カードはやって無いよ。現金だけ。でも、もう他のは売っちゃって、これは残りだから、この金額よりちょっと安くしてもいいよ。」

『ううむ。まずい。。。こんなところで最後に趣味のお買い物なんて。しかし・・・どうしても欲しい。』

「2枚だったらいくらにしてくれる?」
「××ユーロだね」

「んじゃ、3枚なら?」
「△△ユーロ。これっきり」

「とてもきれいだというのはわかりますよ。でもこれ、印刷でしょ?それにしちゃ高いんじゃいの?ブーブー」

「こんな値段で手描きのがあったらその方がおかしいよ。」


そりゃそーだ。

でも比べてみると、この絵を見る前に選んだものは、ずっと安っぽく見えて、もう買う気にならない。
そっちは全部やめてしまった。


なんだかんだやり取りの末、
やはり気に入ったから買うことにした。
そりゃ、ムッシュの方が絶対上手だけど。


ムッシュにはお店でちょっと待っててもらい(待つに決まってるが)、近くでお金をおろし、ついに買ってしまったのである。。。

『まあ、今回は自分の物はひとつも買わなかったので、このくらいのお買い物はいいかな。』
といいわけしてみる。


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お支払いを済ませてからは、さらにご機嫌のムッシュ
「じゃあ・・・」といって、彼はさっきの葉脈の絵をいち枚、おまけにつけてくれた。

『えー、あの絵、わりに高かったのに、ただでくれるの?嬉しいのか嬉しくないのかわかんない△○×??』


早速お包みしてくれる。

あれ?古ポスターでくるんでるよ。

「ノンノンムッシュ、くるくるまいちゃ駄目でしょー!まっすぐ平らにして持って帰りたいの!」


こうして、ゲットした絵は、せっかくパッキンしたスーツケースをひっくり返し、一番底の固い平らな部分に入れて、大切に持ち帰ったのであった。







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